親にとって、子どもは何歳になっても可愛いでしょう。ただ、年齢を重ねるなかで“適度な距離感”をとらなければ、どんなに仲の良かった親子であっても関係がこじれてしまうかもしれません……。娘の帰省を喜んだ70代夫婦の事例を通して、近年問題となっている、高齢の親に対する子の依存が引き起こすトラブルをみていきましょう。牧野FP事務所合同会社の牧野寿和CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
7月中に出ていってくれないか…年金月25万円の75歳男性、居間でくつろぐ41歳娘にまさかのひと言。原因は“子煩悩な73歳妻”の異変【CFPの助言】
A家の「その後」
それから数ヵ月後、Aさんから筆者に連絡がありました。Cさんはクリニックに通院しながら、最近はバイトを始めるまで回復したそうです。
「もう二度と追い出そうとは思いません。これからも愛娘を見守っていくつもりです」
急増した夫婦の家計支出は落ち着き、夫婦は今後の生活に前向きな様子です。
内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)」によると、40歳~69歳の「困難な状態※から『改善した経験があった、どちらかといえばあった』と答えた人に対し、改善のきっかけを尋ねたところ、次のとおりとなっています。
※ 困難な状態……社会生活や日常生活を円滑に送ることができなかった経験や状況。
「家族や親戚の助け」……(41.9%)
「時間がたって状況が変化したこと」……(41.4%)
「自分の努力で乗りこえたこと」……(32.0%)
「友人の助け」……(28.4%)
「就職・転職したこと」……(27.4%)
「病院に行って相談したこと」……(24.2%)
この調査結果からも、焦って怒るよりも親がまず冷静になり、子どもが安心して悩みを解決できる場所の提供をすることが重要だとわかります。さらに、精神面をはじめとした適切な支援をすることで、子どもが抱えている問題と家計問題、その両方を解決に導くことができるでしょう。
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員