56歳のサラリーマンAさんは、孫の誕生を機に人気の高級車アルファードを「残価設定クレジット(残クレ)」で購入。一般的に「損だ」といわれることの多い残クレですが、果たしてその実態とは。Aさんの事例をもとに、詳しくみていきましょう。牧野FP事務所合同会社の牧野寿和CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
残クレ最高…年収500万円の56歳サラリーマン「残価設定クレジット」で新車のアルファードを購入→4年後、世間の“残クレ叩き”に高笑いのワケ【CFPの助言】
残クレの主なメリットとデメリット
残クレの主なメリットとデメリットは次の通りです。
<メリット>
■契約時に残価が設定され、残クレの支払いを含め、家計支出計画が立てやすくなる
■毎月の返済額が抑えられる
■3年、5年間隔で、ほかの車に乗り換えやすい
<デメリット>
■残価にも金利がかかり、総支払額は通常のローンより多いケースもある(後述参照)
■走行距離制限があり、超えると追加料金が徴収される
■車両状態によっては、返却時に修理費用などを請求される
■車の所有権はないので、車内外とも自由にカスタマイズできない
■契約時に残価が設定され、残クレの支払いを含め、家計支出計画が立てやすくなる
■毎月の返済額が抑えられる
■3年、5年間隔で、ほかの車に乗り換えやすい
<デメリット>
■残価にも金利がかかり、総支払額は通常のローンより多いケースもある(後述参照)
■走行距離制限があり、超えると追加料金が徴収される
■車両状態によっては、返却時に修理費用などを請求される
■車の所有権はないので、車内外とも自由にカスタマイズできない
また、Aさんが契約した残クレの契約内容はつぎの通りです。
■購入総額:490万円(税抜車両価格:413万円、諸費用:35万円)
■残価:220万円
■毎月の返済額(年利4.0%、5年(60回)返済):5万7,932円
■残価率※:約53%
※残価を税抜車両価格で割って算出、高率なほど購入時人気の車種といえる
■支払総額:561万7,988円(残価220万円を含む)
■残価:220万円
■毎月の返済額(年利4.0%、5年(60回)返済):5万7,932円
■残価率※:約53%
※残価を税抜車両価格で割って算出、高率なほど購入時人気の車種といえる
■支払総額:561万7,988円(残価220万円を含む)
参考までに、ある自動車ローンで上述の残クレ同様、年利4.0%、5年で返済すると、
■毎月の返済額:9万0,241円
■支払総額:541万4,460円
となり、残クレのほうが毎月の返済額は抑えられますが、支払総額は高くなります。
購入から4年後…定年退職を迎えたAさん
Aさんは新車を購入して4年後、60歳の定年退職を機に、老後のライフプラン策定のため筆者のもとを訪れました。Aさんは退職後働く予定はないそうです。
そこで筆者は、A家の今後の収支を試算しました。Aさんが65歳になるまでの5年間は、いわゆる年金の谷間で無収入となります。65歳からは月24万円、68歳からは夫婦で月29万円の老齢厚生年金が受給の見込みです。預金残高はほとんど退職金で1,450万円ほどあります。
負債は、住宅ローンが残り2回(16万円)と、残クレが69万5,184円残っています。
Aさんの話では、老後は家計支出を切り詰め、毎月25万円くらいで生活する計画です。机上では、残クレを返済しながら、65歳まで貯蓄を取崩しながらの生活は可能ですが、貯蓄残高は100万円程度の計算になります。これでは無収入期間の借入金の返済が、家計を圧迫しかねません。