同じ会社で約40年間働いた同期の2人。65歳まで働いた山田さんと、それより1ヵ月早く退職した田中さん。実は、この「たった1ヵ月の差」で雇用保険の受給制度が大きく変わることに。家族の介護という切実な理由で早期退職を選んだ田中さんの判断を例に、アラカン世代の“最適な退職タイミング”についてFPの三原由紀氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
え?なんで?…退職金が「100万円」も減るのに、65歳直前で辞めた同期。謎が深まるも、労いの席で聞いた“知られざる事実”に「最良の選択」と納得したワケ【FPが解説】
FPが教える賢い退職タイミングの選び方
ファイナンシャルプランナーの視点から、アラカン世代が雇用保険を最大限活用するための3つのポイントと注意点をまとめました。
【ポイント】
1. 65歳の誕生日の前々日までに退職手続きを完了
・基本手当受給中は老齢厚生年金が支給停止。家族の状況や生活費を考慮し、どちらを優先するか判断を。
2. 年金との調整を理解する
・雇用保険受給中は老齢厚生年金が支給停止
・どちらを優先するかは個人の状況で判断
3. 会社のルールを事前確認
・定年退職日は誕生日や年度末など会社により異なる。退職タイミングの調整が可能か、事前に確認を。
【注意点】
・退職金が減額される可能性があるため、総額を確認。
・失業給付の受給には、労働の意思と求職活動が必須。虚偽の申告は違法であり、給付の返還や罰則の対象となります(雇用保険法第74条)。
・ハローワークで個別の状況(例:家族の介護、健康状態)を相談し、適切な受給計画を立てましょう。
退職のタイミングは、以下の観点で総合的に判断しましょう。
・経済的な損得(退職金、雇用保険、年金)
・家族の状況(介護や健康)
・自身の健康状態と働き方の希望
・退職後のライフプラン
・家族の状況(介護や健康)
・自身の健康状態と働き方の希望
・退職後のライフプラン
田中さんは「妻の通院を支えながら、短時間勤務の仕事を探せた。経済的にも大きな差はなく、正しい選択だった」と振り返ります。
山田さんも「制度を理解し、家族にとって何が最善かを見極める大切さを学んだ」と話します。定年退職を控える方は、雇用保険や年金の制度を正しく理解し、ハローワークや専門家に相談しながら、最適なタイミングを見極めるようにしましょう。
三原 由紀
プレ定年専門FP®