公的年金には、原則65歳以降に支給される「老齢年金」のほか、配偶者が亡くなった場合に遺族が受け取ることのできる「遺族年金」があります。しかし、この遺族年金について、致命的な“勘違い”をしている人が少なくないようです。夫を亡くした68歳女性の事例をもとに、遺族年金の仕組みと注意点についてみていきましょう。FP Office株式会社の岩倉由記子氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
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A子さんの資産寿命を延ばす最後の救済策
3.ライフプランの再設計
最後に、これまでの生活スタイルを見直し、月10万円以内での収支均衡を目指すライフプランに修正を行いました。
1,300万円の預貯金を「取り崩し型資産」として計画的に20年分配(例:年間40~50万円)すれば、破産のリスクは回避できる見通しです。
一連の説明を受け、A子さんは「なんとかなるかもしれません。もう少し前向きに頑張ってみます」と少しだけ安心した様子でした。
「遺族年金=安心」ではない現実を知り、1人でも生き抜ける計画を立てることの大切さを身をもって体感したようです。
自分の老後は自分で守る
遺族年金はたしかにありがたい制度ですが、過信は禁物です。自分が将来どれくらい受け取れるのか、生活費はどれくらい必要なのか。「もしものとき」に備えるには、早めの情報収集と専門家への相談が重要です。
A子さんのように、突然の別れのあとでも「いまからできること」を1歩ずつ進めることで、不安を安心に変えることが可能です。
大切なのは「わからないから、動かない」ではなく「わからないから、聞いてみる」姿勢。国や自治体の制度を上手く活用しながら、老後の安心をあなた自身の選択と行動でつかみ取りましょう。
岩倉 由記子
FP Office株式会社
ファイナンシャルプランナー
