歳を重ねるにつれて怒りっぽくなる……。それには「老化」が影響しています。本記事では、法医学者の高木徹也氏による著書『こんなことで、死にたくなかった:法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」』(三笠書房)より一部抜粋・編集して、感情的になって突然死してしまう高齢者のケースにり、高齢者に多い生活習慣病とその改善策について解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
急に怒鳴り散らす→死亡…「老害」「クレーマー」と揶揄されるような人は“突然死の危険性”が非常に高いワケ【ドラマ『ガリレオ』シリーズ監修の法医学者が解説】
〝老害〟はこうやって生まれる
ところで、歳を重ねると感情的に怒りっぽくなる場合がありますが、これも老化が影響しています。
歳を重ねると、若年者に比べて人生の経験値が高まり、自信を過剰に持つようになるため、会話においても自分のことを優先しやすくなります。一方で、視力や聴力の低下がこれまで培ってきた経験や自信を低下させ、周りの話についていけない疎外感から、悪口を言われているような感覚にも陥るわけです。
怒鳴り散らすなどして攻撃性が高まると、血管が収縮して脈拍が速くなります。いわゆる「頭に血が上る」状態ですが、動脈硬化症や心肥大がある場合は、血液がうまく循環しなくなり、心筋梗塞などを引き起こす可能性があります。
また、脳に動脈瘤が形成されていた場合、破裂することで「くも膜下出血」や「脳内出血」を発症することもあります。
このように、感情的になって突然死する高齢者の多くは、高血圧にもとづく疾患が原因であることが多いのです。
【このような危険を避けるには……】
・定期的な通院で診察を受ける。
・周囲の人は高齢者の特性を理解し、優しい言葉でテンポを遅くして会話する。
・豊富な経験を有している高齢者にリスペクトの精神を持って接する。
高木徹也
法医学者