山本家の「その後」

結局、直人さんは会社を退職。体調を考え、在宅ワーク中心の映像制作会社へ転職しました。給料は大幅に下がりましたが、誠さん夫妻の積極的な育児サポートで、菜穂さんがフルタイムで復職することに。そのため世帯年収はさほど変わらず、住宅ローン返済の目処が立ちました。

誠さん「息子も少しずつ元気を取り戻し、ホッとしています。一時は『いったい誰を恨めばいいのか』と二世帯住宅にしたことを後悔しましたが、やはり家族で心地よく支え合えるこの住まいが、私たちには合っているようです」

二世帯住宅は「長期的な視点」をもって慎重に

今回は結果的に丸く収まった事例を紹介しました。ただ、住宅ローンが払えず滞納が続くと、ローン残債の一括返済を求められるのが一般的です。間違った判断をしないためにも、ローン返済が負担に感じた際には金融機関や専門家に早めに相談しましょう。

二世帯住宅を購入する際には、長期的な視点で慎重な検討が必要です。先述した売却の難しさに加え、家族構成の変化なども考慮すべきでしょう。子どもの独立や親の介護、相続など、ライフステージの変化に対応可能な設計や契約ができると安心です。

購入したあとに後悔しないためにも、家族全員が納得できる住まいづくりを目指しましょう。

山原 美起子
株式会社FAMORE
ファイナンシャル・プランナー