「老後2,000万円問題」については一瞬、切実に受け止めるのはいいとしても、不安を感じたり、心配したりする必要はありません。むしろポジティブに受け止めてみましょう。大塚寿氏による著書『会社人生「55歳の壁」突破策』(かや書房)では、老後2,000万円問題にどう向き合うか? 詳しく解説しています。本連載では一部を抜粋・再編集し紹介します。
「あなたらしく生きる」ための計画を
しかし、こうした経営者や自営業者と比較して、給与生活者の定年退職者のほうが圧倒的に恵まれていると思います。
なぜなら、定年前に2,000万円を貯めるのかどうかも自己決定できますし、逆に貯めることができなかった場合、68歳まで、あるいは70歳まで働くこともできますし、徹底的に節約に努めることもできます。それらをすべて自分の意思で決定することができるのは、ありがたいことです。
だいたい自己決定できることが、会社人生の中でどれだけありましたか?せっかく自分で決められるのですから、チャンスと思って是非とも55歳から計画をスタートさせてほしいと思います。
その計画は「老後2,000万円問題をどうするか?」といった縮小均衡的なものでなく、「あなたらしく生きるためには~」というポジティブ・シンキングで、まずは臨んでほしいのです。
「あなたらしく生きる」ためには、ゆとりある生活をする場合の『月額平均36.1万円』以上必要なら月額40万円とか、月額50万円以上の手取り収入」が可能な仕事を見つけるか、自身で始めるのです。もちろん、複数の仕事の兼業で構いません。
「月額平均22.1万円」程度でいいなら、65歳以降も働けば、年金と合わせて簡単にクリアできるだけでなく、完全リタイアした時のための貯金もできるはずです。
義兄は地銀を定番通り60歳で定年退職、65歳まで雇用延長で、その後は国の出先機関の嘱託として69歳となった今も週4日働いています。
週4日というのがミソで、平日に1日フリーの日があると、病院に行ったり、用事を済ませたり、趣味に充あてたりして、ワーク・ライフ・バランスに最適なようです。地方都市でさえ、こうした仕事があるのですから、大都市圏はもっと恵まれているはずです。
ガッツリ稼ぎたい系の人は、年金月額と給与月額の合計が47万円を超えると厚生年金部分が減額されてしまうので、その場合は支給を繰り下げるなどの対策が必要になりますが、そのあたりになると2,000万円問題は気にならなくなるはずです。
定年後の計画はポジティブ・シンキングで臨もう
定年後の計画は「老後2,000万円問題をどうするか?」といった縮小均衡的なものでなく、「あなたらしく生きるためには~」というポジティブ・シンキングで臨む。
大塚 寿
エマメイコーポレーション代表取締役