学科試験
■後期試験対策の一つとして「前期試験の過去問」が有効(金沢医科大学を除く)
私立医学部の一般選抜で後期試験を実施するのは次の12大学です(図表)。学科試験は、大学によって出題教科や出題範囲に特徴が見られます。
昭和医科大学は数学と国語で教科間選択となっているため、「英語・理科2科目・国語」といった組み合わせでの受験が可能です。金沢医科大学の場合、前期は英語・数学(ⅠⅡⅢ A B C)・理科2科目ですが、後期は英語と数学(ⅠⅡ A B C)のみで受験可能となっています。
日本大学はN方式(全学統一のマークシート式)を採用していますが、医学部医学科は2次試験で英語と数学(記述式)の試験が課されます。2021年度以前のA方式の過去問を使った演習が効果的でしょう。
金沢医科大学を除いて、いずれの大学も前期と後期で出題科目や範囲が共通となっており、問題の難度も前期と後期でほぼ同程度であることも少なくありません。したがって、後期試験対策として前期試験の過去問にも取り組んでおくことが有効といえます。
面接試験
■医療関連の最新ニュースや最近話題になったキーワードを再度おさらいしておく
面接試験はすべての医学部で実施されていますが、大学によって実施形式が異なります。多くの大学では「個人面接」の形式で実施されますが、日本医科大学や金沢医科大学では「集団討論」、藤田医科大学では「MMI(Multiple Mini Interview)」が採用されています。
MMIとは、規定のシチュエーションが与えられ、その状況下で自分がどのように対処するかを考え、それを面接官に規定時間内で説明(プレゼン)したり、質疑応答を通して掘り下げたりする形式の面接です。
どの形式でも「医師としての適性を見る」ことが目的なのはいうまでもありません。「医師志望理由」や「本学志望理由」、「アドミッション・ポリシーや建学の精神」、「志望理由書に書いた内容に関する質問」は頻出ですから、これらの質問にはよどみなく答えられるようにしておきましょう。
さらに、質問のトレンドを押さえて、関連する質問に答えられるように対策しておくことも大事です。
また、「医療関連や現代社会における時事問題」に関する質問にも注意が必要です。2024年度入試で実際に聞かれた質問を一例として挙げています(メディカルラボ生徒からのヒアリングによる。一般選抜だけでなく、総合型選抜や学校推薦型選抜も含む。また集団討論のテーマも含む)。
例えば、「AI」に関する質問は近年のトレンドになっています。AI技術は、開発を進めるべきか規制すべきかで国際的にも議論が大きく分かれていますが、2025年1月23日、アメリカのトランプ新大統領が開発推進に向けて大きく舵を切ったことが話題となりました。「現在、AIは医療にどのように活用されているか」(2024年・国際医療福祉大学)のような現状把握を問うものから、「AIの進歩により言語翻訳が可能になったとき、医師に高度な英語力は必要か」(2024年・関西医科大学)のように一歩踏み込んだ考えを求めるものまで、さまざまです。
また、「ナース・プラティクショナー制度」はあまり耳慣れないワードですが、「看護師が医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行うことができる看護資格」を指すもので、アメリカなどではすでに実用化され医療現場で活躍しています。一方、日本の法律では、看護師が医師の指示なしに治療行為を行うことは禁止されているため、日本看護協会などを中心に導入に向けた検討が進んでいます。メリット・デメリットを含め、ある程度の予備知識がないとなかなか対応が難しいキーワードといえるでしょう。
すでに本番直前ではありますが、医療に関する最新ニュースや、最近話題になったキーワードなどについて、改めて一通り押さえておくとよいでしょう。
小論文試験
■受験校の形式を踏まえた対策が必要
後期試験における小論文試験は、昭和医科大学、日本大学、藤田医科大学、関西医科大学を除いた8大学で実施されています。面接と同様に、小論文も大学によって実施形式が異なるため、それぞれの形式を踏まえた対策が必要となります。
後期試験では、与えられた課題文を読んで設問に答える「課題文型」と、短めのテーマのみが与えられて論述する「テーマ型」に大きく二分されます。金沢医科大学の問題は課題文型ですが、設問中に図が含まれており、問題文の要旨を踏まえてその図を解釈する必要があります。
また、日本医科大学は後期試験の問題が公表されていないため、どちらの形式で出題されても対応できるように準備しておきましょう。
試験当日の朝まで抜かりなく準備しておこう
今回は『私立医学部 一般選抜(後期)に向けてのポイント』として、学科試験、面接試験、小論文試験のポイントについてお伝えしました。
小論文試験はすでに印刷物としての問題が完成しているので、直近の話題は織り込まれにくいですが、面接試験の場合は試験当日の朝のニュースから質問が出る可能性もあります。学科試験の勉強も大切ですが、日々のわずかな時間で構わないので、新聞やニュースなどの情報から「面接の材料になりそうなテーマはないか」を意識できるとよいのではないでしょうか。
受験生の皆さんは、あともうひと踏ん張りです。メディカルラボは全力で頑張る受験生を応援しています。


