年金暮らしを目前に控えた雨宮俊介さん(64歳・仮名)。長年の勤労生活の終わりに安堵していたものの、同居する40歳の息子、健太さん(仮名)の行動が家族の平穏を根底から揺るがします。ファイナンシャルプランナーの青山創星氏が事例と共に解説します。
64歳年金暮らし直前の会社員、通帳から忽然と消えた500万円に悲鳴。40歳同居息子の〈とんでもない告白〉で崖っぷち老後へ…「我が子でも許せんぞ」【FPの助言】
FPが提案した行動計画と雨宮夫妻の決断
「我が子ながら情けない…40歳にもなって。親子だからといって許せたものじゃない」
怒りと呆れでいっぱいになりながら、雨宮夫妻はお金の専門家に相談することにしました。ファイナンシャルプランナーは、以下の具体的な行動計画を提案しました。
1.法的対応として
・警察への被害届の提出と証拠書類の整理(契約書、メールのやり取り、振込記録など)
・消費生活センターへの相談と、契約の取消可能性の確認
・必要に応じて弁護士への相談
2.金銭面での対策
・現在の預貯金残高と今後の収支計画の見直し
・年金受給開始までの生活費の見直しと節約計画の策定
3.再発防止と自立支援
・家族での金融教育セミナーへの参加
・ハローワークと連携した就職支援
・必要に応じて心理カウンセリングの検討
ここで雨宮さんは深く考えました。今この瞬間、健太さんを完全に見捨てるべきか。それとも、最後まで支え導くべきか。家族の絆、親の責任とは何か。彼の心の中では、健太さんへの失望と、それでも息子を見捨てられない父親としての責任感が衝突していました。
最終的に、彼は息子との完全な絶縁ではなく、以下のような段階的な対応を選択しました。
まずは「金銭管理の改善」です。健太さんのアルバイト収入から最低毎月2万円を返済してもらうことを伝え、さらに家計簿アプリを共有することにしました。
次に「就労支援」です。これまで息子が自分で何とかするだろうと見守ってきましたが、正規雇用の職を早く見つけられるよう定期的にハローワークに行くこと、職業訓練校へ通うことを強く勧めました。
そして「金銭教育」です。40歳の息子に今さらとは思いましたが、詐欺に引っかかってしまうようなリテラシーの低さを解消するため、FPから教わった市民講座に行ってもらうことにしたのです。
そして、最後に「心理的サポート」です。自分たちの大切な老後資金500万円をドブに捨てた息子ですが、本人も強い反省の姿勢を見せています。妻も健太さんを完全に見捨てることはできないと、夫と共に息子の自立をサポートすることにしました。