みんなと同じが当たり前?
この「みんなと同じが当たり前」という考え方は、当時の日本にはまだ残っていたように思います。一方で、台湾で生まれ、8歳で日本に移り住んだ私は、日本でできた友だちと楽しく過ごしながらも、どこかで日本人と自分の違いを感じていました。
また、保育の専門学校に入ってからアメリカへの視察旅行に行く際に、学校の先生から「日本人として恥ずかしくないように、がんばってきなさい」と言われたとき、「私、日本人じゃないのに」と違和感を覚え、改めて自分のアイデンティティについて考えるようになっていました。
そんな自分が、「みんなと同じでないといけません」なんて、心にもないことを子どもたちに言うことはできない。子どもはみんな一人ひとり違い、それぞれの個性があるはず。その一人ひとりの個性を伸ばせる幼児教育がしたい……。
そうした思いに突き動かされた私は、その幼稚園を辞めて、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が集まるアメリカのカリフォルニアで幼児教育を学ぼうと決意しました。それからは節約をして幼稚園のお給料15万円のうち10万円を毎月貯金し、幼稚園退職後にもアルバイトをしてなんとか100万円を貯め、単身渡米しました。英語も話せないし、アメリカには知り合いもいない。車も持っていない。持っているのは、若さゆえの勢いと100万円の貯金。そして、「アメリカでなら、自分が理想とする幼児教育ができるんじゃないか」という強い思いだけでした。
中内 玲子
日英バイリンガル幼稚園Sora International Preschool
創立者