iX+(イクタス)』からの転載記事です。
※本稿は、テック系メディアサイト『子どものアレルギー情報を共有し献立変更ができる「my Allergy alert」
食物アレルギーへの理解不足や対策の不備などが原因で、深刻な健康被害や事故につながるケースもあります。その対策の一環として群馬県・前橋市で始まっているのが、アレルギー情報の多角連携サービス「my Allergy alert」。より安心で利便性の高い市民サービス実現に向けて官民共創の企業「めぶくグラウンド」が開発したアプリサービスです。本サービスを利用する学校や保育所等に通うこどもの保護者が、専用アプリをスマートフォンにインストールすることで利用できるようになり、子どもが持つアレルギー情報を学校サイドが共有・対応を行う仕組み。具体的には、個人が入力したアレルギー情報に基づいて学校側が個人別献立表を作成して提示、それを保護者が確認・承認するスキームになっています。
前橋市では、内閣府が推進する「デジタル田園都市国家構想推進交付金」の採択を受け、全国の地方中核都市のモデルとなるべく、2022年度から「まえばし暮らしテック推進事業」の一つとして本サービスをスタートしています。今後は実施対象を広げ、宗教的な食事に関する規制がある、食事療法が必要な場合、さまざまな価値観を持つ人にも役立つサービスを実装する予定になっています。
かくれフードロス問題を地元の学校給食で解消
学校給食だけでなく、あらゆる産地で発生しうる課題として指摘されているのが、「かくれフードロス」。これは、色や形が流通規格を満たさず出荷されることのない食材の廃棄問題のこと。その削減とアップサイクルに取り組んでいるのが、フードテックベンチャーのASTRA FOOD PLAN(埼玉県富士見市)。
具体的なスキームは次の通り。埼玉県内の農業生産者において発生する規格外品や天候理由等による余剰農産物をJAいるま野(埼玉県川越市)が集荷・販売を行い、同社が特許を取得した過熱蒸煎機で乾燥・粉末化した食品パウダー「ぐるりこ」を製造。対象となる野菜は、キャベツ、玉ねぎ、ごぼう、ニンジンなど。この粉は、野菜本来が持つ栄養価、香り、旨味を持つことが特長です。そして2023年、このぐるりこを使って、女子栄養大学と日本薬科大学の学生が埼玉県富士見市学校給食センターと新メニューを共同開発。富士見市内の全17小中学校の学校給食として提供されました。
また給食の提供と連動するかたちで、食事をしながら「かくれフードロス」について学ぶことができる教材を配布。さらに富士見市立諏訪小学校の小学5年生約120名に対しては、科学実験を用いた特別授業を行い、多角的な食育プログラムを実行しています。