ケガや病気、身内の介護など、さまざまな理由によって収入が減少・消失すると、よほどの蓄えがない限り生活苦に陥ってしまいます。もしそうなった場合、一刻も早く生活を立て直すためには、行政による支援・助成制度の活用が欠かせません。そこで、ルポライター増田明利氏の著書『お金がありません 17人のリアル貧困生活』(彩図社)より、具体的な制度を詳しくみていきましょう。
日本もまだまだ捨てたもんじゃない…国民を「生活の困窮」から救うこれだけの支援・助成制度
支援制度はほかにも
高年齢雇用継続給付
年齢が高くなったことで賃金が減額されたときにその一部が補填される制度。雇用保険の一般被保険者であることなどの条件を満たすと利用できる制度で、60歳以降65歳になる前日まで賃金の一部に相当する金額が支給される。
60歳以降の賃金が前6ヵ月の平均金額と比べて75%未満となる場合、低下した割合に応じて7万9,710円から47万8,500円の給付が受けられる。
教育訓練給付制度
宅建士、介護福祉士、管理栄養士、通関士、FPなど就職や転職する際に持っていれば有利になったり、特定の仕事を行ううえで必要な資格があるが、こうした資格を取得したり技術を身につけるためにかかった費用の一部を雇用保険から給付される制度。
教育訓練給付制度は一般教育訓練給付、専門実践教育訓練給付、特定一般教育訓練給付の3種類あり、一般教育訓練給付は対象となる講座を受講し、修了すると10万円を上限に受講料の20%が支給される。
専門実践教育訓練給付は教育訓練にかかった費用の50%(年間上限40万円)が支給され、更に資格取得後1年以内に雇用された場合は追加給付20%を合わせた70%(年間上限56万円)が支給される。
高額療養費制度
医療費に関係するもっともポピュラーな補助制度。健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険など健康保険に加入している人が利用できる制度。
高額療養費制度を利用すると1ヵ月に一定金額を超える医療費を負担した場合に超過した分を払い戻してもらうことができる。
後から払い戻してもらうのが基本だが、事前に加入している健康保険に対して限度額適用認定証の交付を申請すると、窓口での支払いを自己負担額までにとどめることができる。ただし、入院時の食事代、おむつの費用、差額ベッド代などは対象外。
70歳未満の人の高額療養費の区分は、図表2のとおり。
※ 所得金額は総所得金額等から基礎控除(43万円)を差し引いた額。多数回は同じ世帯で診療月の前11ヵ月間に、すでに3回以上高額療養費の支給を受けている場合、4回目の診療月は多数回該当の限度額となる(参考資料:おおたの国保、大田区国保年金課発行冊子より)。
葬祭費支給制度
葬祭費補助制度は国民健康保険、後期高齢者医療保険、健康保険の被保険者が亡くなったときに、葬儀、埋葬を行った人に支給される給付制度。支給額は市区町村や加入している健康保険によって異なるが、国民健康保険の場合、東京23区は一律に7万円。神奈川県、千葉県、埼玉県は5万円。
これら以外にも市区町村単位で独自の支援、助成制度が設けられている。
例えば3人乗り自転車(幼児2人同乗用自転車)や関係物品の購入、電動アシスト自転車の購入に対する補助。赤ちゃんのおむつ購入費用の支給。世帯所得が一定額以内であればランドセルを支給するなどユニークな制度を設けている自治体がたくさんある。
まずは調べてみて、自分がどの制度を利用できるのか検討していただきたい。情報を得ておくのはとても大事なことだ。
増田 明利
ルポライター