国公立大学も私立大学も、「偏差値」で考えると難しそうだが…
合格した子たちの学力状況を見ていきましょう。まずは国公立大学です。医学部のある国公立大学は全国に50校あります。ランキング表では、1位・東京大学、2位・京都大学、3位・大阪大学というように続いています。
ランキングでは共通テストの合格者平均を高い順に並べています。共通テストは高得点が非常に取りにくく、センター試験の頃と比べると、各大学の合格者平均は大体5%ほど下がっています。
センター試験は知識を見るテストなので、知識さえ覚えれば点数を獲得できていました。しかし共通テストは「この知識を使って考えなさい」と高いレベルで学力を見ます。ある程度の期間を取って準備しないと点数が取れません。
共通テスト対策の前に個別試験の対策を終えておかないと、なかなか医学部には入れません。ですからスケジュール管理が本当に大変です。その点も踏まえて、早めに準備をしておいてほしいと思います。
ランキング50位の愛媛大学で合格者平均78.2%ですが、合格者平均ではなかなか合格できません。医学部医学科の倍率は結構高く、今年の春は4.48倍。ざっくりいえば4.5倍です。他の国公立大学を見ても他学部の平均倍率は2倍ほどですから、医学部の倍率は圧倒的です。
共通テスト後は、自己採点で合否判定を出したのち、志望校に出願するかどうかを判断します。この約4.5倍という倍率のなかで出願しているのは、共通テストである程度取れている子たちです。ただ、それでも合格者は4~5人に1人ですから、医学部医学科を志望するなら合格者平均よりも3~5ポイントくらいは上を目指したい。特に現役生の場合ならそれくらいは取りたいところです。
図表1の右側には、河合塾の全国記述模試で見た合格者の平均偏差値を掲載しています。科目ごと(英語・数学・理科)の偏差値も載っていますが、それぞれ、少なくとも2.5~5ポイントくらいは上を目指すぐらいのつもりでいてください。そう考えると、共通テストは最低でも8割以上は必要です。
また、河合塾の全国記述模試の場合は、少なくとも偏差値65は必要です。ベネッセの進研模試の場合は、+7くらいを考えましょう。例えば今年の東京大学における合格者の平均偏差値は、河合塾の全国記述模試では77くらいですが、ベネッセの進研模試だと84ぐらいが合格者の平均偏差値となります。
偏差値80超えということは、1,000人中1位や2位。それくらいの位置にいないと東京大学の理Ⅲには入れません。しかも、この模試を受けているのは全国の高校3年生(約100万人)のうち、進学校の子たちだけです。そのなかで1,000人中1~2位というのが、東京大学の理Ⅲのイメージだと思ってください。
国公立大学の偏差値が高いのは当たり前ですが、現在は私立大学の偏差値も非常に高くなっています。図表2は、全国に31校ある私立大学のランキング表です。こちらは合格者の全国記述模試における偏差値を、高い順に並べています。1位・慶應義塾大学、2位・東京慈恵会医科大学、3位・順天堂大学と続きます。
私立大学において偏差値はあまりアテになりません。私立大学の場合、全大学において入試問題が医学部向けの内容となっており、特徴的な問題がすごく増えます。ですから、模擬試験の偏差値が高くても、実際に受かるかどうかはまったく別なのです。
31位でも偏差値はだいたい60。とはいえ、偏差値60でも本当は厳しいかなと思います。国公立大学も私立大学も偏差値65くらいは取っておきたい、そんなイメージです。
「偏差値が高くとも落ちる子、低くとも受かる子」の差
とはいえ、偏差値はあくまでも目安です。図表3は、高校3年生が入試直前に取った偏差値と、実際の合否結果を示したデータです。
例えば東京医科歯科大学(※東京工業大学と統合し、2024年10月より「東京科学大学」に変更)は、偏差値75ぐらいの子で合格2名、不合格1名です。偏差値72.5の子たちだと合格7名、不合格6名。偏差値70だと合格3名、不合格11名。図表3の赤いラインより上に入った場合、模試の判定的にはA~B判定です。A判定やB判定が取れたら「イケるんじゃない?」と思うかもしれませんが、実際はまあまあ厳しいことがわかります。
例えば東京医科歯科大学(現・東京科学大学)の入試問題と河合塾の記述模試の問題は随分違います。英語の長文問題だって、普通の大学受験は500~600単語ですが、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)では2,000単語を超えます。そんな大量の長文を読んで400字で要約しなさいという特徴的な問題が出てきます。でも逆に言えば、その長文にきちんと備えている子たちは絶対に有利です。そのような子たちのなかから、偏差値的には低くとも合格を掴むケースが出てくるのです。
私立大学だと出題傾向がさらに特徴的になってくるので、各大学で偏差値のボーダーラインより上でも不合格者が圧倒的に増えてきます。
言いたいことは、大学によって出題傾向が随分違うということです。特に医学部を受ける子たちは赤本などの過去問集を早めに手にしましょう。「赤本は高校3年生になってから買えばいいや」と思っている子たちも結構いますが、赤本が書店に並ぶ時期は遅いです。できれば高1・2のうちに第一志望の大学くらいは決めて、赤本を買っておきたいところです。
「難しい大学を目指すのなら、難しい問題をやるべき」は間違い
図表4は、国公立大学の二次試験の問題が難しいのか易しいのかを示したグラフです。国公立大学の医学部のなかでは、比較的ボーダー偏差値が低いほうの大学グループを掲載しています。
結論から言うと、グラフ上方に載っている大学は問題が易しいです。赤本では「教科書の章末問題レベル」とか「素直な典型問題のみ出題される」というように分析されています。ですから、「医学部に行くのだから、難しいことやりなさい」というわけではないのです。基本問題のみで合格がつかめる大学も結構あるということです。一方、グラフの下方に行けば行くほど難しい大学になります。
グラフ縦軸のパーセンテージは、「二次試験でこれだけ取らないと受からない」というギリギリのラインを示しています。問題が易しい大学だと、8割取ってもギリギリ。9割以上取りましょう。ですから、共通テストよりも二次試験でたくさん点数を稼がなければならない大学もあります。その代わり、問題は標準的です。
グラフ下方にある、医学部を受ける子でさえ50点も取れないような難問が出る大学は、特に関西に多いです。
入試問題は、難しいか易しいかだけではありません。内容まで見ると本当にまちまちです。
医系専門予備校メディカルラボは、医系専門予備校として合格者数No.1(※)の実績を持ち、2007年~2024年度入試の累計合格実績は10,000人を突破しています(※株式会社東京商工リサーチ調べ)。なかには、高校3年生の11月時点の模試でE判定から入校し、合格した人もいます。
メディカルラボに通い、合格を勝ち取った生徒の合格体験記はこちらからご覧いただけます。
『医師を目指す君たちへ2024』は2025年1月末まで視聴可能
2024年9月15日・16日、医系専門予備校メディカルラボは、医学部進学講演会『医師を目指す君たちへ2024』を開催しました。
本講演の第1部では、『チーム・バチスタ』シリーズや『ブラックペアン』など数々の映像化作品を執筆してきた海堂尊氏(医師・作家)が登壇。『医師になるということ。』と題して、医師になるために必要な「勉強以外のこと」を多角的に語っていただきました。
約1時間にわたる海堂氏の講演には、志望理由の見つけ方や、“良い医者”になるために必要な知識など、近年の「人物評価重視」の医学部受験を勝ち抜くためのヒントが随所にちりばめられています。
〈講演内容〉
●非医師家庭で育った海堂氏…医学部を選んだ「意外なきっかけ」とは?
●「数学が苦手だから医学部に行けない」は間違い
●Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)はいかにして生まれたのか
●「医者」と「医学者」の違い
●『ブラックペアン』や『チーム・バチスタの栄光』を読むと、医師になれる!?
●「医師になりたい」と思うきっかけはどこにでもある
●メディカル・エンターテインメントは「医療の最前線」を学ぶチャンス etc.
『医師を目指す君たちへ2024』は現在、期間限定でオンデマンド配信しています。視聴期限は2025年1月31日(金)まで。下記バナーから申し込み可能です。