「国民年金保険料」の仕組み

電話をかけると、Aさんの動揺を感じ取り「早く解決したほうがいい」と判断したFPは、すぐに対面での面談を組んでくれました。

Aさんは困惑した表情で、次のように言います。

「私はずっと会社勤めだったもんですから、年金のことは明るくなくて……。なぜこんな封筒が届いたのかもよくわかりませんし、会社員なら本人の給与から天引きされて、妻の保険料負担もありませんでした。なぜ国民年金では、本人になにかあったときに親が肩代わりしなくちゃならんのか、納得できません」。そこで筆者はまず、Cさんが加入している国民年金について説明することにしました。

まず、会社員であっても自営業であっても、20歳以上60歳未満のすべての国民は、国民年金の加入が義務づけられています。職業や状況によって、次の3タイプいずれかに分類されます。

第1号被保険者……第2、3号被保険者でない自営業者や農業者、学生、無職などの者。原則65歳からは、老齢基礎年金を受給する。

 

第2号被保険者……70歳未満の会社員や公務員など、厚生年金に加入している者。厚生年金保険料を、給与から天引きされる形で納付する。厚生年金加入者は同時に国民年金の加入者にもなっているため、65歳から受給する老齢厚生年金には、老齢基礎年金も含まれる。

 

第3号被保険者……第2号被保険者に扶養される、20歳以上60歳未満の配偶者。第3号被保険者でいるあいだは、国民年金保険料を納付する必要がなく、「保険料納付済期間」として65歳以降受給する老齢基礎年金の年金額に反映される。

Aさんは会社員だったため「第2号被保険者」、配偶者であるBさんは「第3号被保険者」です。Cさんは独立して自営業となったため、上記のうち「第1号被保険者」にあてはまります。第1号被保険者が納める国民年金保険料は、本人(Cさん)または保険料連帯納付義務者の世帯主(Aさん)・配偶者が納めることになっています。なお、AさんがCさんの保険料を納付した場合、確定申告で所得控除を受けることが可能です。

ここまで説明したところで、CさんからAさんのもとに「家に帰った」と連絡があったため、この日はいったん帰宅されました。