予期せぬ間質性肺炎の発症…取り戻せない時間への後悔

しかし、70歳になったばかりの佐藤さんに、思わぬ出来事が起こります。トレッキングから帰宅した翌日から咳が止まらず、息切れも感じたため病院を受診したところ、間質性肺炎と診断されたのです。

間質性肺炎は、肺の間質と呼ばれる部分に炎症が起こり、進行すると呼吸困難を引き起こす深刻な病気です。佐藤さんの場合、幸い早期発見だったため重症化は免れたものの、日常生活に一定の影響が出ることに…「診断を受けた時は本当にショックでした。これまで健康には自信があったのに」と佐藤さん。

治療は継続的に行われているものの、体調次第では趣味のトレッキングに行くことも難しくなってしまいました。「階段を上るのも辛いこともあるんです。在宅酸素療法も検討しているところです」と佐藤さんは声を落として語ります。

「こんなことになるなら、健康なうちに夫婦で人生を楽しむために年金を使いたかった……」と佐藤さんは後悔しました。「泊まりでトレッキングに行ったり、趣味を楽しんだりする時間があったのに、それを逃してしまった」。妻の京子さんも同じ思いです。「主人の病気をきっかけに、お金よりも時間の大切さを実感しました。今、健康なうちに楽しめることを楽しむべきだったと思います」と、目に涙を浮かべながら語りました。