勉強が続かなくて悩んでいませんか? オンライン個別指導塾「となりにコーチ」の代表講師・粂原圭太郎氏の著書『科学的アプローチで勉強がとまらなくなる ストレスフリー勉強法』によると、「脳科学的に正しい勉強法がある」と言います。一体どんな方法でしょうか? 本書から一部を紹介します。
インターリーブ学習が効果的な理由
アメリカの心理学者であるネイト・コーネル氏とロバート・ビョーク氏が絵画を用いて行なった面白い実験があります。2つの大学生のグループにいくつかの絵画とその作者を記憶させる内容ですが、1つの集団には画家ごとにまとめて絵画を見せ、もう一つの集団には絵画をランダムな順番で見せて覚えさせました。
その後、大学生たちにそれまで見たことのない絵画を見せ、そのスタイルから作者を当てさせるという実験です。2つのグループの間で、「絵画の作者当てテスト」の成績に違いはあったのでしょうか? 驚くべきことに、「絵画を画家ごとに記憶させた集団」より、「雑多な絵画をランダムに記憶させた集団」のほうが成績がよかったのです。
なぜ、このような結果になったのか。別のジャンル(絵画の実験であれば別の画家の作品)を同時並行的に学習することによって新鮮味が絶えることなく、脳が活性化したまま知識をインプットできたからです。いろいろなものを少しずつつまみ食いしているときは、ぜいたく気分でワクワクします。勉強でも異なるジャンルをつまみ食いすることで、脳にいい刺激を与え、記憶の定着度も上がります。
逆に、同じことだけを続けて勉強していると、次第に退屈になり脳のパフォーマンスも下がってしまいます。「メリハリが大事」という言葉は、脳科学的にも核心をついているのです。先ほど、30分ごとに学習の内容を切り替える例を紹介しました。切り替えの時間は30分がおすすめですが、それでも集中できないときは、15~20分ごとに別の勉強に切り替えてみてください。逆にもう少し集中力が続く場合は、40~45分に増やしてもOKです。
大切なのは、「脳のパフォーマンスが下がっている時間をなくす」こと。自分に合った1コマの時間を見つけていきましょう。また、同じ人でもその日の調子によって集中力が変わるので、日によって微調整するのもおすすめです。調子がいいときに集中して勉強し、そうでないときは細かく時間を分けて勉強する。そうすることで、脳へのストレスも最小限に抑えることができます。
インターリーブ学習は、小・中・高校生だけに有効なものではありません。大学生や社会人になってからも、資格勉強や趣味のスキル向上など、インターリーブ学習は多くの場面で活用できます。インターリーブ学習はすべてのジャンルの勉強に有効ですが、一つだけ注意点があります。「関連性のないトピック同士では効果が出にくい」ということです。
英語の勉強の合間に数学に取り組んでも、インターリーブ学習の大きな効果は出ません。英語ならリーディングとライティング、数学なら計算と論述といったように、相互に関連するトピックを並行して学習することを習慣にしていきましょう。ひと通りキリのいいところまで終わったら、科目を変えても大丈夫です。次の科目に移った際も、関連性のあるトピックの中でインターリーブ学習を行なうようにしてみてください。
粂原圭太郎
オンライン個別指導塾「となりにコーチ」の代表講師