勉強が続かなくて悩んでいませんか? オンライン個別指導塾「となりにコーチ」の代表講師・粂原圭太郎氏の著書『科学的アプローチで勉強がとまらなくなる ストレスフリー勉強法』によると、「脳科学的に正しい勉強法がある」と言います。一体どんな方法でしょうか? 本書から一部を紹介します。
文字とビジュアルを同時に覚える記憶力アップ法
勉強する前の小さな目標を決め、振り返る習慣を身につけ記憶の定着を図り、集中力がなくても、継続的に勉強できる仕組みをお伝えしました。これを知っているだけで、ストレスなくたんたんと勉強をこなしていけます。ここからはより具体的な勉強法を紹介しましょう。
脳に「2つの形式」で情報をインプットすると、記憶が強化されます。2つの形式とは、「言語形式」と「視覚形式」です。この形式で処理することを「デュアルコーディング」と言います。デュアルコーディングは、授業やプレゼンテーションなどにも活用されています。新しい概念や知識について知るとき、言葉で説明されてもピンと来ないことがありますが、図やグラフを組み合わせると、理解しやすくなります。
デュアルコーディングはカナダの心理学者アラン・パイヴィオが提唱した概念で、さまざまな学習に応用されています。子どもがスキーという遊びを知るとき、「スキー」という単語に加え、スキーで使う道具や、実際に雪の上をすべっているイメージをインプットします。単語という言語情報と、イメージなどの視覚情報は脳の中で別々に処理され、単語だけやビジュアルだけで覚えたときより記憶を呼び出しやすくなります。
これを勉強に応用するには、教科書などの文字情報を覚えると同時に、ビジュアルでインプットする習慣をつけていく必要があります。覚えたい事柄に対して、「最低でも1つ」視覚情報を用意しましょう。歴史であれば、図録や資料集で探すのはもちろんのこと、インターネットで画像を検索してみるのもいいでしょう。それでも見つからなければ、自分で表や図を作ってみるのもおすすめです。
逆に、教科書で写真やイラストばかり見るなど、主にビジュアルでインプットしてきた人は、意識して言語情報も頭に入れるとデュアルコーディングが行なえます。どちらかに偏るのではなく、バランスよく情報を取り込むのです。私が教えていたある生徒は、古文が大の苦手でした。
文章を読んでも同じ日本語とは思えず、内容にも興味が持てない……。古文を勉強すること自体がストレスでした。そんな彼女にすすめたのが、『あさきゆめみし』という『源氏物語』を題材にした漫画です。「少しでも古文の世界に興味を持ってもらえたら」、そんな気持ちからでしたが、効果はてき面。積極的に古文に取り組むようになり、笑顔が増えました。
その後もさまざまな漫画教材を活用し、古文が得点源になるまでに成長しました。漫画で視覚的にインプットすることで理解が促進され、古文の勉強に対するストレスがなくなったのです。