増えない給与に止まらぬ値上げ、さらには地震や酷暑、豪雨などなど……考えはじめるとキリがない生活への不安。こんな“生き辛い”現代の日本で暮らす20代~50代の男女4人に、それぞれの生活状況や経済的事情について“赤裸々”に語ってもらいました。ルポライター増田明利氏の著書『お金がありません 17人のリアル貧困生活』(彩図社)より、詳しくみていきましょう。
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総理は信用できないし…参加者たちが抱く不安・心配事
──今感じている不安、心配事などがあったら教えてください。
平井:仕事と雇用が不安です。自分の場合は派遣で6ヵ月ごとの契約更新制で働いています。この先、直接雇用に転換することはないだろうし、必要がなくなったら切られるのは目に見えている。いくら権利を主張したところで期間満了だからって言われたらおしまいですから。早く直接雇用、正社員で働けるところを探さないと。
吉田:就職活動はやっているの?
平井:ハローワーク、ヤングハローワークには定期的に通っていますし、人材会社が主催するジョブフェアにも顔を出しているのですが、上手くいきません。自分の年齢だとまず経験を求められる。介護、陸送、飲食は門戸が広いけどブラック度が高そう。まずは宅建士の資格を取って不動産関係に進めるようにしたいです。
金沢:夫が失業しないか心配で仕方ない。コロナで収入は減り続けているし同業他社には倒産したり自主廃業したりしたところもあるそうです。もしそんなことになったら、日雇いでも何でもやるって言っていますけど。
土屋:わたしは、まずこの物価高を何とかしてもらいたい。新聞とかテレビでは○○が3%から8%の値上げとか、△△は2年前に比べて3割上昇なんて解説しているけど、実感としてはほとんどのものが倍近くになった感じです。
金沢:それはわたしも実感します。収入はほとんど上がっていないのに食品、電気代、ガス代、ガソリン、灯油と生活必需品は高くなるばかり。生活は縮小するばかりですよね。
土屋:まだまだ値上げは続くっていうから大変ですよね。本当に頭が痛くなる。
吉田:わたしはとにかく健康が心配です。血糖値が高い、血圧も高め、五十肩が治らない、週末は腰痛が出る。摂生して大病にならないようにしないといけません。病気になっても医療費が払いきれないから。
平井:お仕事についてはどうですか?
吉田:クビにならない程度には働くよ。だけど身を粉にして頑張ろうなんて思わない。刹那的に思うだろうけど1日のうち8時間から10時間を売って金に換えている。そう考えています。あとは妻を怒らせないことですね。熟年離婚なんてことになったら男は惨めなものだから。
土屋:わたしはもう上がり目は期待できないけど子どもたちにはいい仕事に就いてもらいたいし、経済的にも豊かな暮らしを続けられるようになってもらいたい。2人とも大学に進めるようにするのが務めだと思っています。公務員とか資格で食べていけるようになってほしい。子どもだけ、わたしの人生は子どもだけです。
平井:半年後、1年後はどうなっているのか分からない。この先の仕事や生活の不安で眠れないこともあります。
金沢:総理は成長と分配とか、新しい資本主義なんて言っているけど信用できないですし。
吉田:社会がどんどん悪い方向に行っているのではと思うことがある。数万円のために自殺したり犯罪に走ってたりしてしまう人がいるでしょ。トチ狂ってると思う。
土屋:あまり暗いことばかり考えず、前向きにやっていこうとは思います。
(一同嘆息混じりで頷く)
増田 明利
ルポライター