休みなし、サービス残業が当たり前、ハラスメントのオンパレード……完全な「ブラック企業」にもかかわらず、辞めることなく働き続けている。そんな人、周りにいませんか? 彼ら・彼女らはなぜ「合理的ではない組織・集団」から離れないのでしょうか。そこには誰もが持つ「人間の本能」が隠されていたのです。橋本之克氏の著書である『世界最先端の研究が教える新事実 行動経済学BEST100』(総合法令出版)からみていきましょう。
なんでまだ働いているんだろう?…ブラック企業を「辞めない人」の理由【行動経済学】
「自由」と「孤独」は表裏一体
フリーランスの話から若干離れましたが根本は1つです。時に人は不合理な心理に縛られて、合理的で自由な選択ができなくなるものなのです。気づけば何かの権威の下で、ぬるま湯につかったように時間を過ごしていると気づくことは誰にもあります。
それは自分でも意識しない本能的な選択かもしれません。不合理であっても人は群れてしまうのです。仮にその集団にいることが明らかに不合理だとわかっていても、そこから離れることは難しいのです。
人間の本能に近い「集団に属する」ことに関しては、非常に複雑な心理が隠されていることを認識する必要があります。
フリーランサーになり、組織に所属せず1人で働くことは、集団という支えを失うことです。
しかし、人生100年時代を目前とした今、その決断をしなければならない人は多いはずです。
むしろこれからの時代、おそらく誰1人として、1つの組織に永遠に所属し続けることはできないかもしれません。組織は変わり、なくなり、それでも人は生き続けるのです。
改めて思えば、自由と孤独は一対なのかもしれません。そのことを認識することも大切でしょう。フリーランサーという選択をするにあたって、収入を確保するという対処が必要なだけではなく、孤独にならないよう仲間を確保するという対処が必要なことも覚えておくべきです。
将来に向けて今日からでも、まずは自分の心の中にある不安を正面から見つめるという準備から始めてみてはいかがでしょう。
橋本 之克
マーケティング&ブランディングディレクター/著述家