お金を貯めなければいけないとは思いつつも、なかなかうまくいかない……そんな悩みを抱えている人は少なくないでしょう。欧米諸国と比べて「貯金が好きな国民」というイメージもある日本人ですが、いったいなぜ「貯められない人」が多いのか。橋本之克氏の著書『世界最先端の研究が教える新事実 行動経済学BEST100』(総合法令出版)よりみていきましょう。行動経済学を活用した貯金システムも紹介します。
日本人は貯金が好き。でも…実際には「貯められない人」が多い残念なワケ【行動経済学】
貯金は好き。でも貯まらない…将来に備えられない日本人
ところがOECD(経済協力開発機構)が算出した2021年の貯蓄率は、ドイツ14.9%、アメリカ12.4%などと比べても低い7.8%です。この大きな理由としては、低成長経済の状況下で可処分所得が減っているためという説があります。
将来への備えがない日本人が増えています。これは良い状況ではありません。とはいえ、日本にはSMarTprogram(※)はありません。貯金が必要なのは誰でもわかっています。それができないことが問題なわけです。
(※)Save More Tomorrow「明日はもっと貯蓄しよう」という、米国で進められた「確定拠出型年金」への加入と拠出を増やすためのプロジェクト
そこで、IT技術を使った新たな金融サービス「フィンテック(FinTech:Finance+Technology)」のサービスが役立ちます。
行動経済学を活用しての貯金システム
その1つが「おつり貯金」です。これはスマホにアプリを入れて、カードなどで買い物をするたびに、設定に合わせて一定額が貯金されるものです。設定の単位は、100円、500円、1,000円などです。
仮に280円でコーヒーを買ったとすると、それぞれの設定により、20円、220円、720円が貯金されます。買い物の端数が原資なのであまり深く考えず、しかも頻度が高く貯金ができる仕組みです。
他にもユニークな貯金として、「歩数貯金」があります。これは例えば「1日5,000歩を歩いたら、500円貯金」や、逆に「1日5,000歩を歩かなかったら、500円貯金」のような設定で貯金をするものです。貯金しながら健康促進にもつながります。
また「チェックイン貯金」もあります。ジムや習い事の教室など、あらかじめ登録してある場所に近づくと、自動的に指定の金額が貯金されます。トレーニングや学習などの自分の頑張りが貯金額に反映されて励みになるといった使い方です。
他にも「空き枠貯金」というものもあります。1ヵ月のカード支払いが設定された予算を下回ると、その差額が貯金されるものです。節約した結果が貯金に反映されます。
これらはすべてスマホにアプリを入れて、いくつかの設定をするだけで簡単に利用できます。
あまり難しいものではありません。