超高齢社会の日本において、「親にはできる限りのことをしてあげたい」という考えは禁物です。親の介護を人任せにしない“義理堅い日本人”を待ち受ける恐怖の未来について、そうならないための対策とともに詳しくみていきましょう。芸人の安藤なつ氏と介護ジャーナリスト太田差惠子氏の共著『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』(KADOKAWA)より、詳しく解説します。
50歳が80歳を介護→片道1,000円の交通費のせいで老後破産に!? …親思いな“義理堅い日本人”の末路【安藤なつと介護ジャーナリストの対談】
介護の現場に踏み入れないという選択肢も
太田:親の介護で子どもがやるべきもう1つの役割として、親の介護を「マネジメント」していくことを提案します。
安藤:「マネジメント」とは? タレントのマネージャーみたいですね。
太田:最初にお話しした通り、親も子どもも105歳まで生きる可能性があります。いつ終わるかわからない介護を息切れせずに、続けられるように、環境を整えてあげることが「マネジメント」の考え方です。
安藤:環境を整える? 確かにマネージャーは、タレントが仕事をしやすいように環境を整えてくれる存在ですね。介護でも、ヘルパーさんと一緒になって介護の現場に入り込むより、冷静な視点で介護がスムーズにいく環境を整えることが大切なのですね。
太田:まず、マネジメントの手始めとして、親は、何ができて何ができないのかを確認します。親ができないことを自分がサポートできないなら、手を出さずに代役=サービスや制度を探すようにしましょう。
安藤:子どもが離れて暮らしていると、日々の身の回りのお世話のために通うわけにはいかないからサービスを使うことは必須ですね。
太田:適切なサービスや制度を探すためには、情報収集が不可欠です。
安藤:介護保険制度って言われても難しそうで理解できる気がしない! でも弱っている親より子どもが勉強して理解しておくべきですよね。
太田:その通り! たとえば、親の体調が思わしくなく、歩行が難しくなってきた、ということで相談が必要な場合、親は説明に手間取るでしょう。子どもが、代わりに状況を説明して、適切な手立てを段取りする必要があります。
親に代わって状況を理解して、適切なサービスを受けられるように環境を整えていくことが「マネジメント」の役割です。
安藤:わかりました。難しいと嫌がらずに、理解するようにがんばります!
親の異変を早く察知することもマネジメントのひとつ。「この前の電話でおかしかったな」と思った場合など、感じた異変の内容を日付と一緒に、メモしておくこと。きょうだいでグループLINEを作り、状況を報告し合うのも◎。おかしいと感じたら、病院の受診やサービス導入を検討しましょう。
安藤 なつ
メイプル超合金
ヘルパー2級(介護職員初任者研修)
太田 差惠子
介護・暮らしジャーナリスト