増えない給与に止まらぬ値上げ、さらには地震や酷暑、豪雨などなど……考えはじめるとキリがない生活への不安。こんな“生き辛い”現代の日本で暮らす20代~50代の男女4人に、それぞれの生活状況や経済的事情について“赤裸々”に語ってもらいました。ルポライター増田明利氏の著書『お金がありません 17人のリアル貧困生活』(彩図社)より、詳しくみていきましょう。
コンビニは鬼門ですね…ペットボトル「1本150円」に嘆く、月収20万円・45歳シングルマザーの本音【座談会】
1円の重みにピリピリします…食の安全よりも「満腹」が優先
吉田:交際費的なものもできる限り抑えています。親族の冠婚葬祭すら適当な理由をつけて辞退することがある。そうすると付き合いが途絶えて孤立するリスクがあるけど。
金沢:最近は物価が上がり続けているので食費も削れるものは削るようになりました。例えばマヨネーズやケチャップは徹底的に使い切ります。絞り出して、最後は容器を半分に切ってスプーンで掻き出す。
土屋:クリスマスケーキやピザは手作りです。いいお母さんを実践しているんじゃなくてお金がかからないから。本当は不二家とか銀座コージーコーナーのかわいいケーキ、具材がたくさん乗ったピザを食べさせたいですけど。
金沢:お肉は鶏のムネ肉が主流になりましたね。スーパーの特売だと100グラム58円で買えるので。お米も安いオーストラリア米。
土屋:1本いくらで並べられている人参とか大根を買うときは手に取って重さを測る。1円の重みにピリピリします。
金沢:食材を買うとき、あと100円出せばランクアップするのに、その100円を出すか悩んじゃいますね。
土屋:スーパーにしろディスカウント店にしろ安いものって中国とかベトナム製ですよね。本音を言えばちょっと心配ですけど、使えるお金が決まっているから買わざるを得ない。食の安全よりも、まずはお腹が一杯にならなきゃ。
吉田:うちも同じようなものです。妻も働いているので平日の夕飯はスーパーのお惣菜が中心でね。油で揚げたものが多いから食卓が茶色で、いかにも身体に悪いなって思います。なるべく野菜を食べるようにしているけど天候が悪いと高騰するでしょ、トマトがひとつ158円なんて手が出せない。タンブラーでミニトマトを栽培してみたけど美味しくはなかった。
平井:外食はほとんどできませんね。自炊はしていますが、食べるのは親子丼、焼肉、炒飯、野菜炒め、塩鮭、魚の缶詰、レトルトのカレー、冷凍食品。こんなものばかりです。朝は前日にスーパーで買っておいた見切り処分品なのでおにぎりとジャムパン、団子とポテトサラダみたいな変な組み合わせのときがある。やっぱり野菜を食べないので背中が痒くなったり便秘気味になったりで、体調は良くないですね。
吉田:コンビニにはなるべく行かないようにしている。あと折りたたみの傘は常備しています。夏場に外出するときは飲み物持参。
土屋:コンビニは鬼門ですよね。娘は友だちとコンビニに行っては定価でペットボトルを買うんだけど税込150円、馬鹿じゃないかと思っちゃう。激安スーパーの無名ブランドやまいばすけっとのPB品なら70円ぐらいなのに。仲間はずれにされたりいじめに遭ったりするのを考えるとコンビニで買い物するなとは言えないし。
増田 明利
ルポライター