増えない給与に止まらぬ値上げ、さらには地震や酷暑、豪雨などなど……考えはじめるとキリがない生活への不安。こんな“生き辛い”現代の日本で暮らす20代~50代の男女4人に、それぞれの生活状況や経済的事情について“赤裸々”に語ってもらいました。ルポライター増田明利氏の著書『お金がありません 17人のリアル貧困生活』(彩図社)より、詳しくみていきましょう。
28歳・大卒男性「社会人になってから年収300万円を超えたことが1度もないんです」…令和の日本に生きる“ワーキングプア”の実態【座談会ルポ】
参加者の「最近の大きな出費」の共通点
──最近の大きな出費は何ですか。
吉田:去年は次男が大学に進学したのですが、そのときの納入金です。入学金と授業料、施設費など合計で130万円。最初の費用は払ってやるがあとは自分で半分ぐらい工面してくれと言ってある。
土屋:うちも子どもの学校に係わる出費が大きい。県立高校、市立中学なので学費は必要ない。だけど制服、体操服、修学旅行の積立など払わなきゃならないから。
金沢:どれくらい必要なんですか?
土屋:娘の制服は夏服と合わせて2万8,000円。体操着と運動靴で6,000円ほど。息子もほぼ同じ金額でした。修学旅行の積立は2人で月1万7,000円。高校、中学と同時進学だったから郵便定額貯金を解約しました。給食費も上がるって通知があったし。
金沢:今の段階から備えておかないとまずいですね。
平井:自分は奨学金の繰上げ返済ですね。6回分で約8万円だった。
吉田:教育費ってのは聖域的なものだけど本当に高いと思う。
土屋:塾代、模擬試験の費用も必要だし習い事も。子どもたちからいくつもお稽古事や習い事をしている同級生がいると聞くと、申し訳ないなあと思う。子どもの才能や可能性を伸ばすのが親の役目だし、そういうことをやってあげられないのは親としてつらいものがある。
吉田:クラブ活動にもお金が必要だしね。うちは、上の子は高校で硬式野球をやっていたけどユニフォーム、練習着、その他の用具代を合計すると10万円ぐらい必要だった。練習試合の交通費もあったし。下のは中学から吹奏楽部だったけどフルートを買うのに4万円必要だったからね。
平井:わたしは貧乏なのが分かっていたからお金の必要ないことしかやりませんでした。中学は園芸部で、高校では帰宅部でアルバイトをしていました。やりたいことをやれる人が羨ましかったです。
増田 明利
ルポライター