人の内面は必ず外側に出るからキリッと凛々しく身を整える

女学校を卒業すると、私は就職する道を選びました。そのころはまだ、外にお勤めに出る女性は多くありませんでした。当時、女性は大人になったら結婚して子どもを産み、舅・姑に仕えるもの、ずっと家にいて夫を支えるもの、というのが「常識」だった時代です。


結婚前の女性は「家事手伝い」という立場で、家の仕事を手伝って花嫁修業をするのが通例でした。そんな中、私が就職を選んだのは、「これからは女性も働く時代」とか「働く女性ってかっこいい!」とか、のちに言われるようになった「ウーマンリブ」の思想を持っていたからではありません。


ただひたすら「宝塚歌劇団」(宝塚)に憧れていたからなのです。私は宝塚がとても好きで、強い憧れを抱いていました。当時の宝塚では、海老茶の袴が正装でしたが、見るたびに「なんて素敵なの!」と思っていたのです。

人は見た目も大事

なぜ、宝塚の袴と私の就職が結びつくのか、不思議に思われたことでしょう。種明かしをしてしまうと、「勤務先に袴姿で通えたから」なのです。昔も今も、私は女性が颯爽としている姿に憧れがあります。きれいな女性も好きだし、格好いい女性にも強い憧れを感じます。


「人は見た目ではない」といわれます。それは一面、真実ではあると思いますが、100%そうとは言い切れないとも思うのです。だって、素敵とかきれい、格好いい、というのは、必ずしも外見だけのことではないでしょう?


その人の心の美しさとかきれいでいたい、格好よくありたいという美意識が外側に反映されるからこそ、「素敵」「きれい」「格好いい」となるのではないでしょうか。

人の内面は必ず外側に出てくる

人の内面は、必ず外側に出るものだと思います。その意味で、宝塚の団員さんたちは、私にとって憧れの女性だったのです。顔かたちの美しさは持って生まれたものなので、追いつくのは難しいけれども、キリッと凛々しい佇たたずまいとか、身のこなしの美しさ、服装などは、その気になれば誰でも真似することができます。


そこで、憧れの存在だった宝塚の団員さんたちの真似が少しでもできるのならばと、女性が袴姿で通勤している職場を選んだというわけです。ちなみに、袴姿での通勤が義務付けられていたわけではありませんし、制服だったわけでもありません。


それでも袴姿が多かったということは、私だけでなく少なからず働く女性の心の中に「キリッと凛々しくしていたい」「颯爽としていたい」という思いがあったのかもしれませんね。

自分が好きなことを追求してみる

もう今から90年近く前のことなのに、初めて袴姿で通勤したときの晴れがましく、ちょっぴり誇らしい気持ちは、今でも鮮やかによみがえってきます。のちに私は、ポーラ化粧品の化粧品販売員(セールスレディ)になったわけですが、「美」に関する仕事をするようになったきっかけが、ここにあったのかもしれないと思うようになりました。


今は「多様性」が叫ばれる時代になりましたし、多くの会社で副業も認められるようになってきています。生活の柱になっている仕事に対して、「自分に合っていない」とか「楽しくない」と感じているのならば、副業で好きなことをやってみるのもいいのではないでしょうか?


自分が昔から好きだったもの、うまく口では説明できないけれども、なぜか心引かれるものを副業にしてみるのです。もし「これも違う」と思ったら、どんどん違うことをやってみればいいと思います。いずれ自分に合うもの、やっていて楽しいしお金も稼げることが見つかるはずです。


人生100年時代といわれますが、101歳の私に言わせれば、100年たつのなんてあっという間ですよ。我慢せずにやりたいことをどんどんやって、もっと人生を積極的に楽しんだほうがいいですよ!