年金生活者である母親に、毎月7万円の仕送りを続けている川上さん(仮名)。毎月ギリギリの生活ですが、子どもの高校受験を前に、さらなる教育費負担がのしかかります。そんなときに母親のもとに日本年金機構から届いた「緑色の封筒」。中身は何だったのでしょうか? 今回は「年金生活者支援給付金」について、FPの辻本剛士氏が解説します。
もう限界です…「年金月6万円」73歳母への“エンドレス仕送り”で窮地の〈月給33万円〉40代息子が、年金機構から母に届いた「緑色の封筒」に救われたワケ【CFPの助言】
「年金生活者支援給付金」の対象者には、月に約5,000円給付される
「年金生活者支援給付金」とは、現在老齢基礎年金を受け取っていて、かつ所得が少ない人に支給される給付金です。年金生活者給付金には、老齢(補足的老齢)生活者支援給付金、障害年金生活者支援給付金、遺族年金生活者支援給付金の3種類に分かれています。
この給付金の支給は、2019年10月1日の消費税引き上げと同時にスタートし、いまのところは、恒久的に支給される制度となっています。
老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金を受け取れる要件は、以下のとおりです。
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること
・同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
・前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が87万8,900円以下であること
条件に当てはまるかどうかの確認は、自身でおこなう必要はありません。
給付額給付額は、保険料納付済期間等に応じて算出され、次の①と②の合計額となります。
① 保険料納付済期間に基づく額(月額)=5,140円 × 保険料納付済期間/480月
② 保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1,041円× 保険料免除期間/480月
年金生活者支援給付金請求書は、該当する人へ毎年9月1日から順次送付されます。 給付金を申請する場合は、請求書に必要事項を記載して返送すれば可能です。
生活困窮者は1人で悩まず自治体やFPに相談することが大切
後日、まだまだ経済的な困難に直面している川上夫婦と健司さんの母・直子さんは、今後の家計設計について、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談へ行くことにしました。
FPはまず、直子さんを健司さんの扶養に入れることを提案。この変更により、健司さんは、扶養控除48万円の適用を受けることができ、所得税や住民税が軽減されます。さらに、直子さんが扶養に入ることで、健康保険料の負担もなくなり、年間で約3万円の節約が可能となりました。
そのほかにも、FPのアドバイスに従い、川上家は家計の見直しを行い、これまでよりも、経済的な余裕を持つことができるようになったといいます。
このように、生活が困窮してしまう場合は、自分だけで解決しようとせず、生活困窮者自立支援制度の活用やFPに相談するなど、専門家の助けを求めることが大切です。
辻本 剛士
ファイナンシャルプランナー