厚生労働省によると、厚生年金受給者の平均受給額は月14万円で、2024年老齢基礎年金の満額は1ヵ月あたり約6万8,000円となっています。そのため、老後の収入に不安を抱いている自営業者は多いでしょう。理容師のAさん(50歳)もそのひとり。そこで、Aさんの事例から自営業者が無理なく年金受給額を増やす方法をみていきましょう。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役の五十嵐義典CFPが解説します。
年金月6万7,000円見込の50歳理容師、利き手の違和感に「考えただけでゾッとしました」…老後の自分を救う、月々“たった400円”の秘策【CFPの助言】
自営業者にとって大切なのは「年金受取の開始時期」
以上のように、国民年金保険料と付加保険料を納めることで、無理のない範囲で年金を増やす機会はまだまだあります。
さらに、受け取りの開始時期もポイントです。65歳から年金を受け取ることができますが、繰下げ受給を選択することが可能です。受給の開始を遅らせることによって年金を増額(1ヵ月繰下げにつき0.7%増額)させることができ、繰下げは最大75歳まで行えます。
腱鞘炎の状態も気になるところですので、今後の仕事の状況を見ながら、年金の受給開始時期を選ぶとよいでしょう。
なお、現時点では法人化は考えていないとのことですが、法人化してその代表者となって役員報酬を受け取ると、厚生年金に加入できます。
この場合、国民年金保険料と付加保険料の納付はなくなり、代わりに厚生年金保険料を負担することになります。これにより、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建てで年金を増やすこともできます。さらに、最大70歳になるまで厚生年金への加入が可能です。現在は国民年金のままですが、将来的に厚生年金を検討する価値は出てくるかもしれません。
五十嵐 義典
CFP
株式会社よこはまライフプランニング 代表取締役