株式と債券の動きは「反比例」することも

また、債券の値動きは株価のそれと逆に動くケースが見られます。

つまり株価が下落した時には、債券価格が値上がりする傾向が多いのです。そうなると、株価の下落によって生じた損失を、債券価格の値上がりで減らせる可能性が高まります。これが分散投資効果です。

分散投資効果を高めるためには、さまざまな国や地域、それぞれの株式、債券、それら以外の資産に、投資資金を分散させることが肝心です。

保有資産を分散させることによって、ポートフォリオ全体の価格変動リスクが軽減されるのです。

ただ、個人が自分のポートフォリオで分散投資をしようとした場合、2つの問題に直面します。1つは多額の資金を必要とすること、そしてもう1つは、どの資産にどのくらいのお金を投じれば良いのかという点に正解がないことです。

そもそも、どの資産とどの資産を組み合わせれば分散投資効果が高まるのか、同一の資産クラスの中にもさまざまな銘柄があるので、その組み合わせをどうすれば良いのか、といった点を突き詰めて考えると、組み合わせは無限にあります。

その無限にある組み合わせの比率を、自分が許容できるリスクのレベル、期待しているリターンの水準などを考慮しながら決めるのは、一個人では至難の業です。だからこそ、投資信託を運用するプロの手を借りるのです。

投資信託にもさまざまな種類があります。

日本株だけに投資するもの、米国株だけに投資するもの、世界中の株式に投資するもの、世界中の債券に投資するもの、それらをすべて組み合わせたものなど。

分散投資効果を高めた運用をしたいのであれば、国内外のさまざまな資産に分散するタイプの投資信託を選ぶと良いでしょう。

何しろ、日本国内で運用されている投資信託の本数は約6,000本にもなります。この選択肢の幅広さが、投資信託の魅力であるのと同時に、難しさでもあるのです。
 

杉原杏璃

投資家