みなさんは日々の健康管理をどのように実践していますか? 年に一度、人間ドックを受けて医師や栄養士から指導をもらい、自分で工夫をしながら運動や食事改善を実行する、という方が多いのではないでしょうか? そしてその努力がなかなか思うように報われない場合もあり、ストレスや苦労はつきものかもしれません。もっと気楽に、もっと簡単に健康や栄養の管理ができたら夢のようですよね。実はそんな時代がやってくるのも時間の問題かもしれません。デジタル技術やAI活用を通じた異業種企業同士の協業が進み、健康に関するサービス・商品開発がますます活発に展開されています。そこで今回は、“健康・栄養”をテーマに、革新的なテクノロジー活用事例とそれらの組み合わせによって可能になる未来についてご紹介したいと思います。(トップ写真は日清食品の「冷凍 完全メシ DELI 濃厚芝麻醤味の汁なし担々麺」)
栄養コントロールや健康管理は技術に頼る時代へ…AI開発×フードテックの最新コラボ事例

日清食品が培ってきた5つの最新フードテクノロジー

1 「おいしさの再現技術」

さまざまなうまみ素材などを駆使することで、栄養素の苦みやエグみを感じることなくおいしく食べられるようにする。

 

2 「米の加工技術」

お湯をかけて5分で戻る同社オリジナルの製法を使い、お米と栄養素を一緒に炊き込むことで、米本来のおいしさはそのままに栄養素の配合を可能にしている。

 

3 「減塩技術」

世界中から約170種類もの塩を集めて研究を重ね、ミネラルやアミノ酸などを配合することにより、塩が少なくてもおいしく感じられるように。

 

4 「3層麺製法」

麺の中心層の一部に小麦粉の代わりに食物繊維やたんぱく質を使用する3層麺製法技術でおいしさはそのままに栄養素を配合している。

 

5 「肉の加工技術」

大豆たん白や野菜などをまぜてミンチ状にしてフリーズドライ加工する独自の加工技術で肉本来のおいしさを追求。

 

その他、商品ごとに最適な製法を開発。例えば「冷凍 完全メシ DELI やわらかロースかつ丼」では、油で揚げない特殊製法をゼロから開発。おいしさには欠かせない脂質を減らしつつも、まるで油で揚げたようなジューシーな味わいを生み出しています。

 

今後は、花王の「仮想人体生成モデル」を使って、食の好みやライフスタイルなどに関するアンケート項目や、これまでは食との具体的な相関が見えにくかった項目(例えば肌状態や体臭など)からその人の健康状態を推定し、完全メシのパーソナライズ化に応用していく予定といいます。

 

健康意識の向上や健康食の実践が、楽しく、おいしく、簡単にできるようになるのも遠い未来ではなさそうです。

 

 

<著者>

スギアカツキ

食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、独自で長寿食・健康食の研究を始める。食に関する企業へのコンサルティングの他、TV、ラジオ、雑誌、ウェブなどで活躍中。