ミドルシニアの起業の意欲は高い

セカンドキャリアの選択肢の1つとして挙げられるのが、定年前後の起業です。「2023年度起業と起業意識に関する調査」※1によれば、起業関心層のうち、年齢別にみると、「起業したい」とする割合は、60歳代(63.1%)が最も高いことが明らかになっており、50歳代においても半数(52.7%)を超えています。

フリー株式会社(旧freee株式会社)が実施した調査※2のなかでも、50歳以上のミドルシニア層の28.7%が「起業に関心がある」と回答し、現在起業に関心があるミドルシニア層のうち、32.1%が「3年以内に実現したい」と回答しています。3年以内の起業への関心は、ほかの年代よりも多くなっています。

起業への理由としては、「自由に仕事がしたかった」(43.7%)、「収入を増やしたかった」(28.7%)に続いて、「退職後年金以外の収入も得たいから」(23.7%)が上位になっており、収入以上に自由度の高い働き方を志向していることがわかります。

中小企業庁※3によれば、起業家の起業分野として、60~69歳では農林漁業や学術研究、専門・技術サービス業、50~59歳では運輸業、40~49歳では建設業や教育、26~39歳では情報通信業や生活関連サービス業が比較的多くなっています。イメージとしては、若者世代は、インターネットを活用したサービス等で起業し、高齢世代になると、いままで蓄積した専門技術を活かした起業を行っているのだと想像できます。

起業後の苦難

一方で、東京商工リサーチ※4によれば、2023年に全国で休廃業・解散した企業は、4万9,788件(前年比0.3%増)であり、2000年以降過去最多を更新しています。休廃業企業の代表者の年齢別(判明分)は、70代が最も多く42.9%を占め、80代以上が23.6%、60代が20.3%と続き、60代以上は全体の86.9%を占めています。60代以上の構成比は前年より増加し、過去最高を更新しています。

企業が休廃業・解散する理由としては、経営不振のほかに事業承継といった問題が挙げられます。当然ながら意欲があって新たに起業を行ったとしても、その後にさまざまな問題等に直面する可能性があることは念頭に置いておく必要があるといえます。