まだまだ人気の衰えないタワーマンション。しかし、実際に住んだ人のなかには、やっぱり転居しようという人も少なくないようで……。一体どのような理由があるのでしょうか? 本記事では、Aさん夫婦の事例とともに、高齢期を見据えた住まいの考え方について社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。
1億円超の白金タワマンに住まう「世帯年収2,000万円の50代共働きパワーカップル」…家賃20万円の格落ち・埼玉低層マンションへ転居を決めたワケ
タワマンに住んで10年、老後はどうするか?
そんな2人ももうすぐ定年を迎えます。定年後は再雇用で65歳まで働く予定です。タワマンライフももうすぐ10年となり、定年後も引き続きタワマンで暮らすことも可能です。しかし、定年後の年収が下がることから、2人で今後の生活について話し合うことに……。
いまの生活に不満はないし、念願の広くてきれいな家に住めており、お互いの友人たちと楽しい時間も過ごせているという点で意見は一致しました。
しかしAさんが口を開きます「近ごろ、日本各地で災害も多く、高齢期になってからもし災害等で停電し、エレベーターが使えなくなった場合を想定するとタワマンに住み続けるには不安な気持ちがある」。
Bさんが答えます「確かにあなたのいうとおりね。あと私は、いまとなっては部屋数が多いことも悩みなの。いまは人を呼んだときの来客用として使っているし、なにより広いことは生活のゆとりだと思っていたけれど……。それでもほら、あそこの部屋。あそこだけは日当たりも悪いくて、まったく使わず物置状態よね。掃除の手間もかかるし、使っていない部屋には埃も溜まりやすいし、正直、持て余していると感じているわ」。
今後について不安があるという点でも2人の意見は一致しました。
見栄を張る必要もないことに気づいたとき
定年後の生活は、年収が下がり、働き続けても現役時代より休日が増え、自分の時間が増えることになります。65歳で年金生活になった場合、物価の高い都心より、近郊で周りに医療・商業施設など充実した場所にある低層マンションでも充分だと考えます。
幼いころの目標を達成したこともあり、見栄でタワマンを購入したわけではありませんでしたが、はたからみると見栄っ張りと思われたかもしれません。定年後は給与が4割程度下がるため、管理費や修繕積立金も高いことから、住み替えもありかという考えにシフトしていきました。
会社の休みも取りやすくなるため、身の丈にあった低層マンションに住み替えて、旅行や趣味などに使うのも一案かもしれません。思い立ったら吉日。早速休みの日に不動産会社に行ってみることにします。