成功者に憧れますよね。脳科学者の西剛志氏は著書『「おとなしい人」の完全成功マニュアル 内向型の強みを活かして人生を切り拓く方法』の中で、「成功者にはある共通点がある」と言っています。一体どういうことでしょうか? それは何か、本書から紹介します。
成功者は内向型の得意分野も持っている
このような深い言葉は、外向性だけが高いタイプの人からはなかなか出てきません。物事を論理的に考え、本質的な言葉に置き換え、言語化するというのは、内向型の得意な分野です。特に、事業を興し、多くの人を動かす起業家にとっては、言葉の力は必須です。その人らしいパワーのある言葉に、周りの人は引き込まれ、巻き込まれていきます。
イーロン・マスク氏のスピーチやインタビューなどを見る限り、典型的な内向型です。海外の番組のインタビューでは「自分のことを恐れ知らずだと思わない。それどころか、かなりの怖がりだと思う」とさえ語っています。口数が少なく、おとなしい子どもだったイーロンは、幼少期は周りの子どもたちにいじめられ、ずっと一人で本ばかり読んでいたそうです。
一人で空想の世界に入ることも多かったそうで、当時のその経験が、今のサービス開発にもつながっているようです。イーロンにかぎらず、コンピュータービジネス系の方は、おおむね内向性を持っている人が多いように思います。フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ、Google創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、ネットフリックスで億万長者となったリード・ヘイスティングス……。彼らはみんな、類稀なる集中力で何時間も考え続け、もくもくと開発を続けてきました。
一人に強い内向型の気質がなければ、なかなか難しい作業です。内向性は社会的に望ましくないと思われがちですが、知能や天才性にも関係していて、学ぶことが好きな傾向もわかっています。将棋界で前人未到の8冠のタイトルを最年少で獲得した藤井聡太さんは、決して外向的な人ではありません。しかし深い内側への思索を追究することで、その天才性を発揮した有名な方です。
いい意味でも悪い意味でも、深く考えるのが内向型の特徴です。「深く考えること」それ自体には、なんら問題はありません。ただ、脳のメカニズム的に、内向型の人が「神経症傾向」を持ってしまうと、大変なことになります。「深く考える」という特性を、ネガティブ思考へと使ってしまうのです。
一方、「深く考える」特性をうまく利用して、仕事に役立てているのが「両向型」です。強すぎる神経症傾向を克服できれば、社会をよりよくするためにその力を有効に使うことができます。またそんな人は人目を引き、ともすれば、周囲からは明るく外向的な人に見えることがあるでしょう。「あの人はいつも明るくて、カリスマ性があって、仕事もできて、すごいなあ」とあなたが憧れている人は、両向型タイプなのかもしれないのです。
西剛志
脳科学者