1米ドル「160円超」時代の資産防衛…日本に住んでいても「円資産だけでは安心できない」ワケ

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1米ドル「160円超」時代の資産防衛…日本に住んでいても「円資産だけでは安心できない」ワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

2024年7月の160円を超える円安から1ヵ月で20円近い円高を記録するなど、かつてないほどに注目が高まっている米ドル円相場。とはいえ、日本に暮らしている人の金融資産の大半は、銀行預金を中心とする円資産でしょう。しかし、私たちは知らず知らずのうちに、日常生活のなかで海外通貨の影響を受けているのです。大切な資産を守るためには「円資産だけでは安心できない」といわれる理由をみていきましょう。FP Office株式会社の中山梨沙FPが解説します。

“有事の円買い”は通用しない…「通貨の定石」崩壊か

“有事の円買い”という言葉をご存じでしょうか?

 

世の中の流れが安定している場合、企業や個人は、ある程度のリスクを取りながら積極運用をして、リターンを狙うのが一般的です。これをリスクオンの状態と呼んでいます。

 

逆に、紛争や世界規模の大きな災害、事故が発生した場合は、市場の動きが不安定になるため、資産価値が下落しないように、安定資産に切り替える動きが大きくなります。つまりリスクオフの状態です。そしてこの「リスクオフ」の時に登場するのが”有事の円買い”でした。

 

日本円は、相対的に安全通貨と言われていたためリスクオフ時に買われやすく、以前の為替市場では、有事の時には円高になる傾向がみられました。

 

通貨の価値は国の健全性や信用力と密接に関わっており、日々変動しています。そこで、日本の健全性や信用力について、経済指標から確認してみましょう。指標はいくつか存在しますが、今回はそのなかから①対外純資産残高と②経常収支に焦点を充てます。

 

まず①対外純資産残高ですが、これは30年以上日本が世界最大を更新し続けています。先日財務省が発表した2023年度の残高は約471兆円で、1年前から12%以上増えたとされます(※1)

 

対外純資産残高とは、日本国内の個人や企業、政府が保有している対外資産から対外負債を差し引いたものを指します。この残高がプラスの国を対外純資産国と呼び、お金がある国として認識されます。一方、マイナスの国を対外純負債国と呼び、お金がない国として認識されます。

 

ただし、対外純資産残高の増加は、円安により円ベースでの残高が増えているといった点や、国内に投資魅力が少なく、海外資産にお金が流れている点など、ネガティブに捉えられる側面もあります。

 

次に②経常収支についてです。経常収支とは、国全体の稼ぐ力を示すもので、貿易や投資がいかにうまくいっているかを見る指標です。日本の経常収支は、1981年以降おおむね黒字となっています。(※2、※3)

 

黒字の要因としては、海外の金利上昇を背景とした利子収入の増加や、日本企業が持つ海外子会社から受け取る配当金の増加、自動車産業を筆頭に輸出企業が円安の影響を受け、収益が増加した点が挙げられます。

 

このように、日本という国は、経済指標の観点から「破綻懸念のない安全な国」として認識されています。それゆえに、有事の際は円を持っておこうという流れが生まれているわけです。

 

しかしながら、ここ数年の日本円には、以前ほどの「価値」がなくなってきている可能性があります。

 

日本円の価値が失われつつある理由

2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、エネルギー価格の高騰から世界的にインフレが進みました。インフレを抑制するべく、アメリカを中心に金利を上げる国が増えました。一方日本は、マイナス金利こそ解除されたものの、依然として低金利が続いています。

 

日本は、国債の利払いや元金返済が歳出の24%を占めています(※3)。国債の残高は約1,105兆円といわれており(※4)、金利が1%上昇すると、約12兆円利払いが増えます。

 

歳入には限りがあるため、歳出である利払いの増加分は、他の歳出の例えば社会保障を減らす等でバランスをとる必要があります。しかしそんなことをすると、国民は大きな不満を感じてしまう……そのため金利を上げたくても上げられない状況、それが今の日本なのです。

 

こうしたなかで、海外との金利差は拡大し、低金利の円が買われにくい状態(=円安)を引き起こしています。ロシアのウクライナ侵攻=地政学リスク上昇(≒有事)のため、今までであれば円が買われるはずですが、日本円は、相対的に弱くなっているため、円高には振れません。つまり、“有事の円買い”はもう通用しない世の中になっているかもしれないのです。

日本に住んでいても「円資産のみ保有」は安心できない

「日本に住んでいるのだから、外貨をもっていたところで意味がない」と考えている人も多いでしょう。では、資産が日本円のみの場合、具体的にどのような影響があるのでしょうか?

 

前述のとおり、現在はドル高・円安の傾向が続いています。円安は、海外からモノを輸入する際コスト高となり、国内の物価を上げる、つまりインフレの原因となります。事実、総務省によると、日本の物価は2023年の1年間で3%上昇しています(※5)

 

インフレが続くと、お金の価値が下がるスピードが加速します。今と同じ金額で同じモノが買えなくなるのです。下図のとおり、2%の物価上昇が5年、10年続いた場合、現在の100万円の価値は、90万円、82万円と目減りします。

 

出所:著者が作成
[図表]100万円の「価値」の推移 出所:著者が作成

 

先日、5円で買えるチョコとして40年前に発売された5円チョコが11円になったニュースがありました。長い年月をかけて、価格が倍以上になっています。このように、円資産しか保有していないとインフレ(物価上昇)についていけず、資産の価値が実質的に減り続けてしまうというわけです。

大切な資産を守るため…「外貨を保有する」という選択肢を

このような時代において、大切な資産を守る方法として「外貨」に対する注目が高まっています。

 

海外の通貨であれば、4~5%の金利は珍しくありません。外貨運用は、高金利で増やしていくメリットと、為替差益を生むメリットがあります。もちろん為替差損が発生する可能性もあります。ただ、運用においては解約の手続きさえしなければ、利益も損失も確定しません。仮に円高局面となり、円ベースで損失が出る場合は、一旦静観する選択肢もとれるのです。

 

そんな外貨を保有するための代表的な方法は、外貨預金や外国株式、外国債券、そしてFXです。

 

FXとは「Foreign exchange」の略で、外国為替証拠金取引のことを指します。FXの大きな特性として、元手の金額より大きい金額での取引が可能な「レバレッジ取引」があります。この特性から、FXには投機やギャンブルといったイメージを持つ人が多いかもしれません。

 

しかしながら、当然、レバレッジは自身で度合いを選べます。そのためFXは、低いレバレッジ(低倍率)で活用すれば、低リスクで外貨を保有できる運用手段なのです。明日公開の後編では、その具体的な活用方法を紹介します。

 

低リスクで外貨を保有できる具体的な活用方法とは? 後編はこちら

 

 

中山 梨沙

FP Office株式会社

ファイナンシャルプランナー

※1:財務省ホームページ
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/iip/data/2023_g.htm
※2: 経済産業省ホームページ
https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2023/2023honbun/i2210000.html
※3:日本銀行ホームページ
https://www3.boj.or.jp/josa/past_release/chosa199610b.pdf
※4:財務省ホームページ
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a02.htm
※5:財務省ホームページ
https://www.mof.go.jp/zaisei/financial-situation/financial-situation-01.html
※6:総務省ホームページ
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/nen/index-z.html