2003年、世界的に有名な学術誌Nature誌にて「レスベラトロールという物質が長寿遺伝子を増強する」という論文が発表されました。この「レスベラトロール」は赤ワインに含まれていることで有名ですが、『最新科学で発見された 正しい寿命の延ばし方』(総合法令出版)の著者で代謝機能研究所所長の今井伸二郎氏によると、長寿遺伝子の発現を誘導する成分を摂取したければ、赤ワインよりも「断然おすすめな食品」があるそうです。その正体をみていきましょう。
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ザクロのほかに健康効果があるものは?
前述のレスベラトロールの場合、食品からの有効量摂取は難しいですが、健康食品としてブドウ種子から抽出濃縮した商品も販売されていますので、これらのような商品を利用する方法もあります。
しかし、残念ながら健康食品業界は景品表示法などの表示に関して違法な商品が出回りやすい業界であり、疑惑の多い商品も少なくありません。このようなリスクがあることも理解して、なるべく信頼できるメーカーの商品を賢く選択するようにしてください。
レスベラトロールのみならず、エラグ酸も近年注目を浴びている成分です。こちらも健康食品として、青汁などに配合されている商品が多数販売されています。いずれも、1日あたりの成分摂取量として数十mg以上の商品を選ぶようにしてください。
ルテオリンを多く含む植物、ミロバランに注目
レスベラトロール、エラグ酸に次いでご紹介したいのがルテオリンです。ルテオリンは、フラボンとよばれる化学構造の成分ですが、他のフラボノイドと同じように、黄色の結晶状の成分です。天然成分としてルテオリンは、シクンシ科のミロバランに多く含まれています。ミロバランはあまりなじみのない名前ですが、インドからインドシナ半島の熱帯アジアを原産とした落葉中高木です。
日本にも古い時代に伝わり、正倉院の『種々薬帳』という書物には、呵か梨り勒ろくとして紹介されています。種々薬帳には、ミロバランは整腸作用や下痢止めの効果がある生薬(漢方薬)として紹介されています。
ミロバランはタンニンを多く含むため染色材料としても用いられ、黄色、カーキー色に染まり、藍とともに染めると青磁に似た薄い緑色に染まります。
ミロバランにはルテオリンが多く含まれており、特に葉に多く、外皮や樹皮にもふくまれています。シャジクソウ属の花、ブタクサ属の花粉、サルビア・トメントーサの花にも含まれていますが、我々がよく食用とする食品としては、食用菊、セロリ、ブロッコリー、ピーマン、パセリ、シソ、ニンジンなどにも含まれています。
今井 伸二郎
医学博士
代謝機能研究所所長/東京工科大学名誉教授/藤田医科大学客員教授