充実した日々を送りたいですよね。株式会社キャリッジウェイ・コンサルティング代表取締役の今井孝氏は著書『いつも幸せな人は、2時間の使い方の天才』の中で、「やらなくてもいいムダなこと減らすことからはじめてください」と言っています。一体どんなことがムダなのでしょうか? 具体的な事例を本書から紹介します。
これをやめるだけで、あなたの時間は増える
(1)惰性で続けているが、やめてもじつは問題ないこと
本当に必要かどうかを考えずに、惰性で続けていることは意外と多いです。これをやめると本当にスッキリします。「いままでこんなことに時間をかけて、わざわざストレスを感じていたのか!」と、驚くほどラクになります。
たとえば、ある会社では議事録をメールで配布する前に、上司の承認をもらうルールだったそうです。試しに承認なしで配布してみたら、まったく問題がなかったので、以後はルールが変わったとのこと。毎回のことですから、かなりの時間と労力の削減になりますよね。
また、知り合いの管理職の方は、前任者から引き継いだ「朝礼」をなくしました。まったく支障はなく部下にも好評だったそうです。その数十分だけでなく、準備の時間も合わせると、相当な時間の削減です。ほかにも、会議で使われないデータの加工、監査で見られない資料の作成、名刺のファイリング、ハンコ、カレンダー配りなど、やめても支障のないことはたくさんあります。
またプライベートでは、年賀状、大掃除、固定電話なども、やめても問題ない人は多いです。知り合いには「服をたたまない」という人もいます。いまやっていることは本当に必要なのか? しっかり検証して、効果がなければやめてしまうことが大事です。
(2)よく思われたいためにやっていること
以前、「街の清掃活動がしたい」という人がいました。私がその方に、「それは、誰にも知られなくてもやりますか?」と聞いたら、彼は即答で、「それならやりません!」と言っていました。つまり、その活動の目的は“人に認められること”だったわけです。このように、他人からよく思われたくてやる行動はおすすめしません。
「褒められたい」「認められたい」という動機ではじめたことは、ろくなことがないのです。「できる人と思われたい」と思って、ムダに凝ってつくった資料の評価は、意外とよくありません。「いいことをしている人と思われたい」という動機でチャリティイベントをしても、なぜか誰にも評価されません。自分でも満足できません。
「すごいと思われたい」と思って資格を取っても、ただのコレクターになります。なぜなら、相手のためという視点が抜けているからです。自分がよく思われることを優先してしまい、相手に貢献できないので、結果的に相手に認めてもらえないのです。それに、自分の評価を他人に明け渡していると、いつまで経っても幸せになれません。
(3)不安だからやっていること
あるセミナーに参加したとき、表示されているスライドをパシャパシャと撮っている人がいました。あとで話したところ、「撮った写真を見返したことはないです」と笑って話していました。このように、「念のため」「何かのときのために」「不安なので」と思ってやる行動はあまり意味がありません。
ほかにも、
・不安だから、資格を取る
・不安だから、資料を捨てずにとっておく
・不安だから、つき合いの飲み会に参加する
・不安だから、結婚する
こういうことは、あまりいい結果につながりません。
すべてにおいてリスク回避が最優先事項になっていると、人生がうまくいかないのです。仕事に対する姿勢も、「成功させるために思いっきりやる」ではなく、「失敗したときに責任を取らないように」というスタンスになってしまいます。ただし、多くの人は、自分が不安だからやっているということに気づかないものです。
ぜひ、一度ご自身の心に聞いてみてください。いまやっていることは、不安だからやっているのでしょうか? 心からやりたくて、やっているのでしょうか?
(4)自分がコントロールできないこと
私は、電車が止まって足止めされた経験が何度もあります。このときにもっともムダなのは、「いつ復旧するんだろう」とずっと気にしていることです。自分でコントロールできないことを心配しても意味がありません。
私の場合、こういうときはすぐにカフェに入ります。そして、自分の仕事を黙々とこなします。1〜2時間もすれば復旧して、何ごともなかったかのように移動できますから。このように、有意義に時間を使うためには「自分でコントロールできること」に集中することが大事です。
営業マンであれば、最終的に買うか買わないかはお客様の判断です。そこはコントロールできません。営業でやるべきことをやったら、あとはお客様にゆだねるわけです。また、M&Aなどの経営方針は、一般の社員にはコントロールできません。株価や経済動向はさらにコントロール不能です。
天気もそうです。自由に雨や雪を降らせるなんてできません。たまに雨が降って落ち込む人もいますが、あなたには何の責任もありません。他国で起こった悲しいできごとにも、過度に気にしすぎて時間を使うのはよくありません。ネットニュースを見て自分も不幸になっているのは、時間の浪費でしかありません。コントロールできないことはきっぱり手放し、「自分がいまできること」に集中しましょう。
もちろん、自分の会社の経営方針や社会問題に「無関心であれ」と言っているわけではありません。自分の希望を上司に伝えることや、困っている人たちのために寄付をするなど、自分にできることを探すのはいいと思います。そして、自分ができることに集中していると、だんだんと自分が影響を与えられる範囲が広がっていきます。
(5)積み上がらないこと
5つ目はちょっと上級編になるので、まずは、ほかの4つのムダを取り除いてから考えましょう。積み上がらないことの代表的なものが、ただお金のためだけにする仕事です。たとえば、ちょっと時間があるからといって、イヤイヤ数時間のバイトをする。これは多少のお金にはなるでしょうが、その後の自分の人生に、お金以外のプラスを与えません。こんな仕事はなるべく減らしてほしいのです。
同じように、上司から意味もわからず指示された仕事、なんとなくまわりがやっているからはじめたSNS、興味がないけれどつき合いで参加している地域のイベントなども、本当はやめたほうがいいかもしれません。逆に、やるのであれば、それが積み上がって自分の資産になるようなものを選ぶことをおすすめします。たとえば、ブログなどでの発信は、積み重なって自分のコンテンツとなってくれます。
また、たとえアルバイトでも意義を感じる仕事であれば、自分のスキル向上や経験の蓄積に役に立つでしょう。積み上がらない仕事をやめて、そういった仕事に時間を使ってほしいのです。
ここで紹介した「やめるべき5つのムダ」が自分のまわりにないか調べてみてください。じつは自分のしている仕事の多くが必要ないことに気づくでしょう。大胆に、やることを減らしてみるのがいいのかもしれませんよ。
今井孝
株式会社キャリッジウェイ・コンサルティング代表取締役