「老後2,000万円問題」という言葉を耳にしたことがある人もいるでしょう。しかしながら、実際には老後を乗り切るのに“2,000万円では足りない時代”がすぐそこまで迫っていると、投資の学び舎「トウシナビ」の代表を務めるFPの櫻井かすみ氏はいいます。そこで本記事では、櫻井氏による著書『投資への不安や抵抗が面白いほど消える本』(Gakken)から一部抜粋し、2,000万円あっても老後の生活費が不足してしまう原因と、老後に向けた資産形成のコツについて解説します。
100万円が「20年後」には“67万円”程度の価値になる!? 令和の老後は「2,000万円」貯めてもまったく安心できないワケ
月3万円程度のつみたて投資では、不足分を補えない問題
「月3万円程度のつみたて投資で安心しているあなたは、要注意」なんて言うと、ドキッとしてしまった方もいるのではないでしょうか。もちろん何もしないよりかは、少額でも投資をスタートしているに越したことはありません。
とはいえ、残念ながら月3万円のつみたて投資では、非常に厳しい現状が待っています。なぜなら、平均リターンを約7%だと見積もっても、20年積立てしたところで約1,500万円。2,000万円ですら、未到達に終わってしまいます。
2,000万円を楽々クリアするには、もっと早くから投資すればいいですが、それには約27年かかるので、60歳の定年までの投資だとすると33歳までに始める必要があります。
リターンについては期待しすぎて、あまり高く見積もらないほうがいいので、まずは多くて7%程度で計算したほうが賢明でしょう。
以前であれば、旧つみたてNISAで毎月約3.3万円という満額に近い投資をしていれば「OK!」のような風潮がありましたが、一度疑ったほうがいいです。
こちらに加えて物価上昇まで加わると、さらに足りないことがお分かりいただけるかと思います。物価上昇が2%で推移した場合、20年後には実質的なお金の価値は約7割弱まで目減りするのです。政府が理想とするインフレ率2%で推移した場合、今の100万円は20年後には67万円程度の価値しかなくなるのです。
ただ、はじめにお伝えしたいことは、いきなり多額の現金をインフレに強い投資信託や個別株に置き換えることではありません。
ゴール設定からするのが理想なので、まずは自分の老後資金の目標額を決めましょう。なぜなら目標金額や目的によって、リスク許容度が変わってくるからです。
とはいえ、人によってこの金額は変わってきますし、普段意識していないと算出方法すらわからないという方が大半だと思います。
一緒に計算してみましょう。ノートとペンをご準備ください。
老後、毎月いくらあれば、生活できそうでしょうか? 今とは状況は変わるかもしれませんし、ケースバイケースで家族構成にもよりますが、生活費は多少多めに見積もると、老後は現役時代の約8割程度になるといわれています。例えば、現時点で毎月30万円支出があるようでしたら、老後は単純計算で月に24万円とします。
続いて、老後の収入です。
年金がどれくらいもらえそうなのかは、主に次の2つの方法があります。
【方法その2】:「ねんきん定期便」を確認すること。毎年、誕生日の月に郵便で送られてくるものです。節目年齢(35歳、45歳、59歳)の方には、封書で全期間の年金記録が届きます。現在までの年金保険料の納付状況でいくら受け取れそうなのか、見込み額が記載されております。