寝ている時間を除いて、自宅でもっとも長い時間を過ごすリビング。食事や勉強、リモートワークなど、家族がさまざまな用途で使用するため、物が散らかりやすい場所です。そこで『狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール』(彩図社)より“片付けやすい部屋”のつくりかたをみていきましょう。一級建築士で模様替えアドバイザーの著者、しかまのりこ氏が解説します。
【事例】収納家具はたくさんあるのに、リビングが片付きません
[図表1]はリビング・ダイニング部分が約10畳の戸建ての様子です。ご夫婦+ご子息1人の3人で暮らしていらっしゃいます。リビングの中心にテレビを置き、その両隣りにカラーボックスを置いて、DVDや雑誌、小物などを収納していました。
しかし、「収納家具は置いていますが、リビングの片付けが上手にできません」とのお悩みから、家具の見直しも含めた模様替えをご希望されていました。
部屋を拝見すると、リビングにはカラーボックスが並べられています。しかし、収納家具を置けば、部屋が片付くというものではありません。
とくにカラーボックスは、前述の通り奥行が29センチ程度と小さいため、大きめの雑誌や小物・整理箱など収納できないものも多く、収納物が限られてきます。
また、テレビボードは奥行が50センチあるのですが、棚が1段のみですので、収納量が多くありませんでした。
収納家具の奥行を「40センチ」に統一することで、部屋がスッキリ
そこで、カラーボックスやテレビボードなどの収納家具を、収納量のある家具に変更してみました。漫画から雑誌、小物や雑貨・整理箱など、大きさの違うものを上手に収納するには、収納家具の奥行は40センチ以上必要になります。
そこで[図表3]のように、シェルフとリビングボード、テレビボードは奥行40センチのものに買い替えて、壁際に置きました。シェルフは高さを150センチと低めのものにして、圧迫感を抑えました。
奥行が10センチ広くなりましたので、様々なタイプの整理箱や収納ケースに小物や雑貨をまとめて収納することができました。
また、リビングボードは、引き出しの多いタイプのものがお勧めです。収納する物を仕分けして、それぞれの引き出しに収納することができます。
そのほか、テレビボードは引き出しと棚のあるタイプに変更したため、収納がしやすく、また収納量も増えました。収納家具の奥行を10センチ変えただけで、収納できるものが増え、リビングが片付きやすくなりました。
片付けやすい部屋にするには、奥行があり、収納量のある家具を選ぶことが大切です。
しかま のりこ
COLLINO一級建築士事務所
一級建築士/模様替えアドバイザー