コロナ禍のあおりを受け、喫茶店を廃業…「生活保護」を決断したAさん

現在無職のAさん(66歳)は、30歳のころから喫茶店を経営していました。

店は店舗兼住宅となっており、1階に店舗があり、2階で寝泊まり。土地建物とも、知り合いのBさん(75歳)から借りているもので、毎月賃料を支払っていました。

店を開けてからしばらくのあいだ経営は順調でしたが、2020年ころからコロナ禍のあおりを受けて、売り上げが立たなくなりました。

「一時的なことだろう」と思ったAさんに廃業する選択肢はなく、赤字は自らの貯蓄から切り崩していましたが、数ヵ月経っても客足は途絶えたまま。店の仕入れや家賃の支払いにも事欠き、ついに2年前に廃業しました。

廃業後も、使っていない1階の分も家賃の支払いが続きます。また、店を開いているときは3食とも店の賄いで済ませていましたが、別途食費がかかるようになりました。

困り果てていたところ、面倒見のいいBさんが声をかけてくれました。自身が所有する築古のアパートに、保証人も不要で、破格の家賃でAさんを入居させてくれるというのです。

Aさんはありがたく、そこに住むことにしました。

自営業のAさんは、頼りの「年金」もごくわずか

Aさんは昨年65歳になり、老齢基礎年金(国民年金)を月額5万8,000円受給しています。このほか、Aさんは、「年金生活者支援給付金」も受給資格があるため、月額4,500円受給。合計額は月6万2,500円です。

しかし、厚生年金の加入経験はないほか、国民年金も喫茶店を開いてから保険料を納付しはじめたため、満額の受給はできません。

アパートに住み替えたとはいえ、店を閉めたいま、月約6万円だけではとても生活が成り立ちません。Aさんは、泣く泣く生活保護の申請を決心しました。

66歳となった現在は、生活扶助約10万円+住居扶助3万7,000円=約13万7,000円から、収入充当額(年金)6万2,500円を差し引いて、月に約7万4,500円の生活保護費を受給。生活保護費を受けながら、職を探していました。