約100もの温泉地があり、全国2位の源泉数を誇る鹿児島県。指宿や霧島といった有名温泉地もあり、温泉好きにとって、まさに天国のような場所です。そんな鹿児島の温泉地のなかでも、選りすぐりの「秘湯」を、温泉博士であり弁護士である小林裕彦氏の著書『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)より、見ていきましょう。
鹿児島に行ったら是非立ち寄りたい、日本を代表する「名湯」
4.硫黄谷温泉 霧島ホテル
泉質、湯量共に、日本を代表する温泉だと思います。
「庭園大浴場」にある広大な「立ち湯」の脇を、「赤松風呂」「長寿風呂」「黄金風呂」が固めます。庭園大浴場の外には、露天風呂の他、3種類の浴槽があります。「これが温泉だ!」という掲示に、思わずうなずきました。
立ち湯は白濁した硫黄泉で、この他、明礬泉、鉄泉、塩化物泉があります。
どの源泉も、それだけで温泉経営ができるくらいの泉質レベルと湧出量です。泉質の多さと浴槽の多さという点では、登別温泉第一滝本館と双璧をなします。
私が温泉に興味を持ったころは、完全に混浴でしたが、現在は女性専用ゾーンがあります。
5.祝橋温泉旅館
霧島市内にあります。
アルカリ性単純泉が勢いよくかけ流されている、非常に湯量の多い温泉で、いわゆるモール泉です。見事なまでの黒色で、浸かるとつるつるです。
霧島温泉は、鳴子温泉や塩原温泉などと並んで、温泉の種類が豊富な温泉地です。種類的には、ひととおり全部ある感じです。
この旅館は「日本武尊祝宴の地」として有名で、入口にその碑もあります。女装して熊襲を征伐し、ここで祝宴を開いたとされています。ちなみに、車で15分くらいの妙見温泉には、熊襲の住処跡があります。
日本武尊の東征、「大和は国のまほろば……」の歌、日本の神話を若い人にぜひ学んでもらいたいですね。
6.百薬の名湯 諏訪温泉
泉質が良い旅館で、知られざる穴場といっていいと思います。
茶色と深緑色が混じったような独特の色で、塩化物泉と表示されています。温泉分析書を見ると、それぞれの成分が濃いです。源泉1リットル中の成分が4,866ミリグラムで、かなり濃厚です。浸かるとキシキシした感じで、炭酸分も感じます。金属臭がします。源泉温度は45度くらいで、加温加水はありません。
内湯は2つに分けられていて、源泉が注入されている方の浴槽は熱めです。温泉成分が濃いので、肌がヒリヒリします。
露天風呂もあります。湯量の多い、総合力の高い温泉です。
小林 裕彦
小林裕彦法律事務所
代表弁護士