海や山の大自然を堪能できる絶景温泉の宝庫であり、有名温泉から秘湯まで、バラエティ豊かな「温泉天国」熊本。なかでも、温泉博士であり弁護士である小林裕彦氏が絶賛する7つの秘湯を、著書『温泉博士×弁護士が厳選、とっておきの源泉かけ流し325湯』(合同フォレスト)から紹介します。
川にせり出す露天風呂、立ち湯…個性豊かな秘湯がズラリ
4.湯の児温泉 松原荘
温泉地の一番奥にあります。松原荘の自家源泉は、同じ温泉地の他の旅館よりも少し濃い感じがします。ナトリウム-塩化物泉です。少し緑がかっていて、硫黄臭がします。浸かると、塩化物泉らしく肌がしっとりします。少しとろみのある源泉が、ガスと一緒にボコボコと注入されています。
熱くもぬるくもない適温です。べたつき感は少ないです。源泉かけ流しの多い湯の児温泉の中でも、泉質の良い自家源泉です。温泉地で自家源泉を持っている旅館には、品質の良い源泉をかけ流しているところがあります。それを見つけるのも温泉巡りの楽しみの一つです。
5.湯の鶴温泉 湯宿 鶴水荘
アルカリ性単純泉です。少し硫黄臭がします。しっとりして、じわーっとくる感じの泉質です。循環風呂では、決して味わえない感触です。
水俣市の山あいの、のどかな郷愁漂う温泉地です。どこか懐かしい感じがして、本当に癒やされます。温泉だけでなく、土地の雰囲気も楽しめます。旅館が数軒と共同湯が1軒あり、いずれも源泉かけ流しです。
「川ん湯」と名付けられた露天風呂が素晴らしい。写真では少し分かりにくいですが、実際はもっと川にせり出しています。川に落ちそうな感じです。
こぢんまりとした旅館ですが、浴槽は多いです。
6.黒川温泉 旅館こうの湯
黒川温泉にある、ふもと旅館と同じ系列で、宿泊客は両方の温泉を利用できます。
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉です。少し緑色がかった感じのマイルドな泉質です。
ここの売りは、なんといっても写真の「立ち湯」です。日本一深いです。深さが162センチメートルもあり、背の低い人は完全に溺れます(^^)。浴槽にかけている木につかまって入る人もいます。体が浮いて、実に気持ち良い。
こういった個性のある浴槽を、おかしな規制でなくしてもらいたくないです。温泉に関する「規制緩和」が必要です。温泉は泉質の個性が重要ですが、浴槽の多様性や個性もそれに劣らず重要です。
7.天草下田温泉 望洋閣
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉です。浸かると、つるつる感のあるやわらかい泉質です。火山性の温泉ではなく、太古の時代に川の水が天草陶石層に浸透して温められたそうです。
浴室のステンドグラスがきれいです。
天草下田温泉は何軒か旅館、ホテルがありますが、ここ以外にも源泉かけ流しがあります。
この宿は夕日を売りにしているので、夕日が沈む時間になると館内放送があり、宿泊客は夕日の見えるスポットに集まります。東シナ海に沈む夕日は、息をのむくらい荘厳です。思わずビートルズの“A Day in the Life”を口ずさんでしまいました。
小林 裕彦
小林裕彦法律事務所
代表弁護士