もしも自分が亡くなったら、どんなお葬式をしてほしいか、どこのお墓に入るのか、今のうちから考えておくと、これからの人生を安心して過ごせます。ニチリョクの尾上正幸さんに教えてもらったおひとりさまがお葬式やお墓について考えるときのポイントを、イラストレーターなとみみわ氏の著書『おひとりさまの後始末』から詳しく紹介します。
最近のトレンドは樹木葬
先祖代々の墓や永代供養墓などの「お墓に入らない」なら、シンボルツリーを墓標にして遺骨を埋葬する「樹木葬」という選択肢があります。樹木や草花を墓標として自然に還ることをうたう樹木葬は最近のトレンド。一般の墓に比べると費用が抑えられるうえ、永代供養もセットになっていて、墓を引き継ぐ人のいないおひとりさまにも人気です。
ただし「本当に自然に還るというような里山の樹木の下への埋葬を許可された場所は非常に少なく、多くが霊園内に用意された合祀墓になりますので、見極めが必要」と尾上さんは話します。
「埋葬しない」なら、「納骨堂」に遺骨を納める、カプセルに入れた遺骨を宇宙に飛ばす「宇宙葬」、海や特定の陸地に遺骨を粉砕してまく「散骨」、自宅で供養する「手元供養」といった方法があります。
なかでも20年前から注目されているのが、遺骨を粉状にして、海や特定の陸地にまく「散骨」です。そもそも陸地や河川等の散骨は法令上、禁止されています。自分の所有地であっても例外ではありません。海洋散骨についても、波打ち際はNG。専用業者の船舶で一定の海域まで移動してからの散骨になります。海洋散骨にかかる費用は、船チャーターで1隻30万円、乗り合いで1組2人で16 万円、代行は6万円が相場です。散骨を希望するなら、厚生労働省のガイドラインをクリアしている事業者を選びましょう。
ただし、現在、死亡者数に対して、散骨の割合は0.1%程度。時代が変わっても、まだまだ墓標は遺された人にとって、手を合わせられるひとつのよりどころとなっているのかも知れません。
漫画:なとみみわ
記事:池田純子