もしも自分が亡くなったら、どんなお葬式をしてほしいか、どこのお墓に入るのか、今のうちから考えておくと、これからの人生を安心して過ごせます。ニチリョクの尾上正幸さんに教えてもらったおひとりさまがお葬式やお墓について考えるときのポイントを、イラストレーターなとみみわ氏の著書『おひとりさまの後始末』から詳しく紹介します。
お墓は維持管理の心配がないことが第一
火葬のあとは、遺骨を供養してもらうことになります。多くの人は埋葬を選びますが、散骨という方法も。どんな方法で供養してもらうか、あらかじめ考えておきましょう。
遺骨の供養の仕方は、大きくは「埋葬する」か「埋葬しない」かに分けられます。埋葬するなら「墓に入る」か「墓に入らない」かのどちらか。「墓に入る」場合は、先祖代々の墓か永代供養墓に入ることになります
が、おひとりさまが墓を考えるときのポイントは「維持管理の心配がない」こと。
先祖代々の墓は、代々継承される慣習がありますが、継承する人がいなくなれば「無縁墓」となって、他の無縁仏と合祀されます。
ですから、もし先祖代々の墓があっても、自分の死後、継承する人がいなければ、自分の代で墓じまいを考えてみてもよいでしょう。
墓じまいとは、墓石から遺骨を取り出して、墓地や霊園の管理者に区画を戻す事。墓じまい後は、永代供養墓に移す、他の墓に移す「改葬」、散骨する、手元に残すといった方法で、引き続き管理や供養を行います。
永代供養墓とは、ひとつの墓石を墓標として、その下に不特定多数の遺骨を納める大型の合祀墓。供養や管理は、寺院や霊園が行います。自分の死後、永代供養墓に入る場合は、死後事務委任契約で、あらかじめその旨を委任しておきましょう。
また他の墓に移す「改葬」は、いわゆるお墓のお引っ越し。厚生労働省の報告によると、2000年前半は6~7万件だったのが、2017年度は10万件超え、2020年は11万7772件と増加傾向にあります。おひとりさまが移転先のお墓に入るつもりなら、生前に改葬しておく必要があります。