配偶者と離別、または死別してしまった場合、再婚を考える人も少なくありません。再婚をした場合は、いずれ発生する「相続」のためにも、前妻と後妻だけでなく、それぞれの「子ども」への対応が重要になる、と「税理士法人レガシィ」代表税理士の天野大輔氏は言います。天野氏の著書『相続でモメる人、モメない人』(日刊現代)より、再婚後の注意点について、詳しくみていきましょう。
遺産相続でモメがちな「熟年再婚」だが…回避するために必ず知っておきたい、〈前妻の子〉と〈後妻〉の関係がうまくいく「秘訣」【相続専門税理士の助言】
「前妻の子」と「後妻」の関係がうまくいく秘訣
一方で、後妻と前妻の子どもが仲良くしているケースも多く、「母親が違うのにずいぶん仲がいいんだな」と驚くほどです。ドラマでは後妻と前妻の子どもがかなり争っている状況が描かれることがありますが、それはむしろ少数派です。
相続でモメないためには、やはりコミュニケーションが重要なのです。実は、前妻の子どもと後妻の関係は、後妻次第です。後妻のほうから働きかけをすれば、前妻の子どもといい関係が築けます。たとえば、再婚後は定例行事を頻繁に開催して、前妻の子どもたちと会う機会を増やすのも有効です。とくに重要なのは、前妻の命日、クリスマス、正月、誕生日です。
「前妻の子」と「後妻の子」は、、特別受益でモメやすい
前妻の子どもと後妻の子どもが相続でモメるパターンとして特別受益が原因になるケースがあります。特別受益とは、一部の相続人が高額な贈与など、被相続人から受け取った特別な利益のことです。これは、民法上のテーマで税務上にはない考え方です。
たとえば、ひとりだけ留学費用を負担してもらっていた場合には、金額が大きいだけに特別受益になる可能性があります。前妻の子ども同士であれば、それほど問題にならないかもしれませんが、前妻の子どもと後妻の子どもがいる場合には、起こりやすいトラブルです。
仮に留学費用が特別受益と認められた場合には、その費用は過去に贈与を受けたものとして、相続財産に上乗せして計算します。贈与を受けた時期も問題になります。2019年の民法の改正があり、遺留分の計算上は10年以内に限定することになりました。10年以上前のものまで対象とするときりがないので、限度を設けることにしたのです。
天野 大輔
税理士
税理士法人レガシィ