職場での孤独感を解消するコツ

オンライン小売業は数百万人の労働者を抱える巨大産業に成長したが、物流センターでの梱包や仕分けの仕事は、同僚が大勢いても孤独な仕事になりやすい。

大量の作業が猛スピードで押し寄せるし、広大な倉庫内では、同じシフトで働いていても互いに名前さえ知らないのが普通だ。心の通う付き合いが生まれる機会もほとんどない。

子育ては太古からある、大切な仕事だ。他の仕事と比べて難易度が高いため、育児に携わる人は孤立しやすい。来る日も来る日も、大人と話す機会のない時間が何時間も続く。うんざりしてしまうのも当然だ。

仕事において他者のつながりが感じられないと、起きている時間の大半を寂しく過ごすことになる。これは健康面の問題にもつながる。前述のように、孤独感、寂しさは喫煙や肥満と同じくらい死亡リスクを高める。

仕事の場において孤独を感じているなら、他者と交流する機会をなんとかしてつくるべきだ。自宅で子育て中の親なら、親子で外出しよう。近所の公園に行くと(子どもにとっても親にとっても)気分転換になるはずだ。物流センターで働く人は、シフトの前後に同僚と声をかけ合おう。

単発の請負仕事をしているギグワーカーも、仕事中に誰かと小さなやりとりをするよう心がけよう。気分がよくなり、孤独感からふと解放されるはずだ。職場でのウェルビーイングを高めるには、意識的な行動が必要だ。

職場での孤独感は、人の関わりが乏しい職種だけの問題ではない。大勢の人と関わる多忙な職種でも、同僚との間に心の通うつながりがないと、非常に強い孤独感を抱くことがある。

世論調査会社のギャラップは、30年間にわたって職場でのエンゲージメント〔組織に貢献しようという従業員の意欲〕に関する調査を実施してきたが、そのなかで大きな議論を呼んだ質問がある。

「職場に親友はいますか?」という質問だ。

この質問を「的外れな質問だ」ととらえる人は、管理職にも従業員にもいる。従業員同士が親しくなるのを警戒する職場もある。従業員同士がおしゃべりして楽しそうにしていると、「仕事をサボっている」「生産性を下げている」と考える管理職もいる。

実際には、逆だ。研究によれば、職場に親友がいる人ほど、仕事に意欲的に取り組んでいる。

とりわけ女性はそうで、職場に親友はいるかという質問に「はい」と答えた女性たちは、仕事に意欲的に取り組む人の割合が2倍になっていた。

就職活動や転職活動をしているとき、給料や福利厚生には注目しても、職場の人間関係を気にすることはあまりない。しかし、職場では、心通い合う人間関係がある種の福利厚生になる。雰囲気のいい職場はストレスが少ないため健康に働けるし、不機嫌になって帰宅する日も減る。つまり、幸福度が高まるのだ。