20代の頃の服を工夫して着こなし、素材の味を活かした料理を楽しむなど、そのライフスタイルが多くの人の支持を集めている美術エッセイストの小笠原洋子さん。2024年2月には「お金を使わなくても豊かに、そしてエレガントでありつづけるためのアイデア」が詰まった新刊『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社)が発売されました。グレイヘアのショートカットがとても似合う小笠原さんに、美容について伺いました。
40代から髪を染めていない〈74歳ひとり暮らし〉 グレイヘアのお手入れ方法と朝と晩に唱えている「美容の言葉」
「74歳ひとり暮らし」小笠原さんの朝晩の美容ルーティン
――小笠原さんの「持たない暮らし」や、お母さまから引き継いだお洋服や若い頃に買った服を手入れしながら自分らしく着こなす姿や佇まいを見て「私もこんなふうに年を重ねていけたら」と思う読者は多いと思います。インタビューでは、本では触れられていなかった、美容についても伺えればと思うのですが、朝や夜にやっていることや習慣(ルーティン)があれば教えてください。
小笠原洋子さん(以下、小笠原):朝に関しては、最近カタログ商品で見つけた「化粧水+美容液+乳液+下地+UVカット=600円のクリーム」を使っています。朝はこれだけですが、塗りながら口元と舌の体操をします。「きゃみ―ぱみゅぱみゅ×3*・みむみむみむみむまー・ぴぷぴぷぴぷぴぷぺー・びぶびぶびぶびぶべー・あにえすべー×3・ぱんだのたからはんだのたから×2」と唱えて塗っています。これが決まり文句です。できるだけ廉価に済ませる美容法です。
*文言は小笠原さんのオリジナルです。
夜は、入浴中に、朝のように別バージョンの文句を唱えます。化粧水と乳液、時に保湿クリームを顔に、ハンドクリームを手に塗って寝ます。肌に直接接する化粧水だけは3000円台のものを使っています。ほかのアイテムは5、600円で安上がりに済ませています。
――メリハリをつけているんですね。逆に美容で「しない」と決めていることはありますか?
小笠原:しないことは、肌をこすったりしないなど、なるべく荒らさないようにすることに注意しています。あとは、基礎化粧品以外は使わないようにしています。「お金がかかるから」という理由と、肌に合わない可能性があるからです。
グレイヘアのお手入れ方法は?
――本書でつづられていた、小笠原さんのファッションに対する考え方や着こなし術もとても参考になりました。小笠原さんのグレイヘアもとても素敵だなあと思うのですが、お手入れ方法などを伺いたいです。また、グレイヘアに関するエピソードもございましたら教えていただきたいです。
小笠原:40代から髪を染めなくなりました。70歳前後までは「似合わない」と言われ続けました。髪を染める 経済的余裕がなかったので、それでも「染めない」で通しました。ショートカットなのは、シャンプー代とドライヤー節減のために髪を長くすることができません。手入れはブラッシングのみです。
――ショートヘアのほうがお手入れが大変かなと思ったのですが、ブラッシングのみなのですね。
小笠原:そうですね。かつて髪の膨らみを抑えるために塗っていた椿油も年齢と共に髪の量が減り、今は使っていません。ヘアスタイルに関するエピソードと言えば、50歳の頃に、街頭で資生堂のモデルのアルバイトをしないかと勧誘されたことがありました。その場で承諾したのですが、撮影の当日に発熱して参加できませんでした。嬉しくて興奮したのかしら(笑)。