20代の頃の服を工夫して着こなし、素材の味を活かした料理を楽しむなど、そのライフスタイルが多くの人の支持を集めている美術エッセイストの小笠原洋子さん。2024年2月には「お金を使わなくても豊かに、そしてエレガントでありつづけるためのアイデア」が詰まった新刊『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社)が発売されました。グレイヘアのショートカットがとても似合う小笠原さんに、美容について伺いました。
40代から髪を染めていない〈74歳ひとり暮らし〉 グレイヘアのお手入れ方法と朝と晩に唱えている「美容の言葉」
自分らしいおしゃれの探し方
――美容やおしゃれに関して「~しなければいけない」「年相応にしないとイタいって思われるかも……」と人目を気にして、自分らしくありたいのに後回しになってしまっている人も少なくないと思います。この記事を読んでいる読者へのメッセージをお願いしたいです。
小笠原:美容やおしゃれに関して、「~しなければならない」という思いは、美しくありたいという思いと共に、一般的には、友達や世間と同じようでありたいと思うことではないでしょうか。それは親しい人との協調性につながることであり、また当たり障りのない装いのことでもありますが、没個性になってしまうきらいもあります。
なお「できるだけモデルに近いお化粧しなければ」という思いは、一見流行の先端をいくようであり、またトレンドのようでありながら、結局オリジナル性に欠けてしまうことにもつながります。
今風の、その先をいく方法が編みだせなければ、いっそお化粧もおしゃれもしないというゼロから始めて、一から自分らしい装いを考え出すのも一策かもしれません。まずは自分の肌にあった化粧品を探すこと、自分に似合う眉や紅の引き方を、人を見本にしないで鏡の中から探り出してみてはいかがでしょうか。
ちなみに私の友人のお母さんは、下唇だけに紅を塗って印象的でしたし、私はいまだかつて眉を描いたことがありません(笑)。
小笠原洋子
美術エッセイスト