電車で寝ていて横の人に寄りかかるわけ

ここからは睡眠について現段階でわかっていることを詳しく説明していきましょう。

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があることはよく知られています。

レム睡眠のREMとは、rapid eye movement の頭文字をとったもので、「急速な目の動き」という意味です。レム睡眠のときは、眠っていても閉じたまぶたの上から目の玉がぐるぐる動く様子が観察できます。このように目が動いているとき、脳は夢を見ているといわれます。

一方、ノンレム睡眠はレム睡眠ではない状態です。

ノンレム睡眠には3段階があり(4段階説もあります)、ノンレムの頭文字のNをとって、いちばん浅いノンレム睡眠をN1、真ん中はN2、そしていちばん深い3段階目の眠りをN3といいます。

人間は一晩に何回かレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返すのですが、そこには一定のパターンがあります。

まず入眠するとノンレム睡眠のN1に入ります。そしてN2、N3と深い眠りに移っていく。そして来た道を戻るようにN2、N1に戻り、次にレム睡眠に入ります。

レム睡眠の特徴は、すでに述べたように夢を見ているということです。脳は動いているけれど体は動いていません。首から下の活動がシャットダウンしているからです。体が動かないので寝返りも打てません(寝返りを打つのはノンレム睡眠のときです)。

いわゆる金縛りにあうのは、レム睡眠のときに何らかの影響で意識が戻ってしまって、体を動かそうとしても動かないことに気づいてパニックになるからです。

たとえば電車でうたた寝するとき、たまに隣に寄りかかる人はいても、だいたいの人は眠ったまま座った姿勢を保っているでしょう。それは入眠した直後は、N1に入るからです。もしここでレムに入っていたら、体に力が入らず、倒れてしまいます。

うたた寝が本格的な睡眠になり、N1が徐々にN2、N3になると、体から力がだんだん抜けて、船を漕ぐようになり、N2くらいで隣の人に寄りかかってしまうというわけです。