最初は興味の湧く銘柄だけ、ポイントをパッと見てさっと判断

結局はこの繰り返しである。この繰り返しが実力となり、投資力という本当の財産を手にすることができるのである。

ただし、投資初心者がいきなり四季報を読破するのは確かに敷居が高い。そこで初心者の方に対して私がお薦めしたいのは、あなた自身がよく知っている、つまりあなたの強みが生かせる企業だけを読む方法である。

最初のページから猛スピードで読み飛ばしていき、興味の持てる銘柄だけをじっくり読むだけでもよい。それでも100銘柄くらいはあるだろう。その数を少しずつ増やしながら株の楽しさを体感していけば、いずれは四季報を通読せずにはいられなくなるはずだ。

企業名と特色、各種の指標(PER、PBR、ROE、ROA、時価総額、自己資本比率、キャッシュフロー、有利子負債、予想配当利回りなど)、株価チャートと業績の推移をパッと見て、割安さや成長性の観点から「買えるものか、買えないものか」を判断していくのだ。

最初は時間がかかるかもしれないが、やることはワンパターンだ。図表に示したポイントをパッと見て、さっと判断する。この繰り返しだ。慣れてくれば、1週間程度で読破できるようになるだろう。

出所:『個人投資家入門byエナフン 株で勝つためのルール77』(日経BP)より抜粋
【図表】『会社四季報』の読み方 出所:『個人投資家入門byエナフン 株で勝つためのルール77』(日経BP)より抜粋

数字は絶対値で評価しないで比較する

各々の株価指標は、その絶対値で割安度を判定してはいけない。VE投資法の考え方に沿って、業績の推移も勘案して今後の成長性(業績の伸び)に対して割安かどうかを検討しなければならない。

同じことは、自己資本比率や有利子負債、キャッシュフローといった財務の健全性に関する指標についても当てはまる。業態やビジネスモデルを考慮しながら、複数の指標を照らし合わせて総合的に判断する。

例えば、有利子負債の数字だけを見て借金が多いと判断してはならない。同時にキャッシュフローの最下段に記載されている現金同等物の額と比較して保有現金に対して借金は過大かどうかを見たり、時価総額と比較して企業の規模に対して借金が過大かどうかを調べたりして、財務の健全性を総合的に判断していく。