定年退職後は趣味に没頭したいけれど、貯金も年金も足りない…。そんな人におススメなのが、「社外顧問(=定年顧問)」という仕事です。本記事では『楽しさと生きがいを手に入れる 定年顧問』(自由国民社)から、著者の岩﨑和郎氏が、社外顧問として働く魅力についてご紹介します。
顧問を目指すなら「スキルの棚卸」をしよう
顧問の契約期間は、3か月から1年くらいで、長いようで短いものです。短い時間の中で、効果や実績を上げるには、あなた自身が持つノウハウを、早く伝えることが重要です。伝える際には、なるべく多くの人に伝えることで、伝える範囲も広がります。伝えることが社会貢献につながるのです。
厚生労働省が、「ポータブルスキル」という言葉で、個人のスキルを説明しています。ポータブルスキルとは、持ち運び可能な能力、あるいは仕事をする上で重要な能力という意味です。主に3つの能力からなりますが、1つ目は専門技術・知識、2つ目は仕事のし方、3つ目は人との関わり方です。
専門技術・知識は、特定の業界や職種などに適用するスキルを指します。電子・電気、通信、化学など、エンジニアとしての専門技術がそれに該当しますし、営業、人事、総務、経理など事務系と称されるジャンルにも、それぞれ専門技術があります。
仕事のし方は、課題を明らかにして計画を立て、それを実行する能力を指します。マネジメントのスキルといってもいいと思いますが、これは必ずしもリーダー層にだけ固有のものではなく、一般社員であってもリーダーに協力して目標達成に貢献するフォロワーとしての能力も含まれます。
人との関わり方は、あなたが接する3つのタイプの人との関わり方です。3つのタイプとは、社内的な関わり方、社会的な関わり方、部下との関わり方です。
社内的な関わり方としては、上司や経営陣とどう関わるか、社会的な関わり方としては、取引先や顧客とどう関わるか、部下との関わり方としては、評価や指導などをどのように行っているかが挙げられます。長く組織で働いてきた人には、この3つとも、豊富な経験があるはずです。
このうちあなたは、どの関わり方に長く時間を費やしてこられたでしょうか。営業部門の経験が長く、社外との関わりが深かったのか、中間管理職として上司や経営陣の説得に時間を費やしてきたのか、あるいは大勢の部下がいる環境の中で、指導、育成に力を注いできたのか。
ポータブルスキルの3つの能力のうち、あなたがどの分野に時間とエネルギーを費やしてきたかを検証することで、あなたのノウハウを伝える相手が変わってきます。ノウハウを伝える相手をしっかりと定めることが、ターゲットを明確にする1つの手段ともなり得るのです。
顧問の仕事は、あらゆる案件が舞い込んできます。ですからオールラウンダーであることは有利です。しかしオールラウンダーではなくても、あなたならではのスキル、ノウハウにおいて、オンリーワンのものがあれば、あなたの活躍のチャンスは間違いなく広がります。
この観点から、顧問を目指すのであれば、履歴書、職務経歴書、自己PR文などをブラッシュアップすることをおすすめします。表面的な職務経験より、このような「具体的なスキルやノウハウ」こそが顧問先企業の担当者が知りたいと思うことなのです。
自身が持つノウハウを早く、広く伝えることが社会貢献になると考えている人には新しいチャンスが生まれるのです。
岩﨑 和郎
アドバイザー・技術顧問
※本記事は『楽しさと生きがいを手に入れる 定年顧問』(自由国民社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。