万が一のとき、身近に頼れる人がいない老後のひとり暮らし。少しでも不安を払しょくするために、早めの終活が肝要です。本記事では、遺品整理プロの山村秀炯氏による著書『老後ひとり暮らしの壁 身近に頼る人がいない人のための解決策』(アスコム)から、3人の事例とともにひとり暮らしシニアの「家を手放す」という選択肢について解説します。
生活保護受給の60代独身男性、家を処分し都落ち…狭いワンルームへ引っ越しも「笑顔」の理由【遺品整理のプロが解説】
住み続けた家を60代で手放した、生活保護受給の男性
変わったところでは、こんな人もいました。生活保護で暮らしているという60代の独身男性、武藤さん(仮名)です。生活保護では一戸建てを持てないので、狭いワンルームへ引っ越すことになり、ほとんどの家財を処分してほしいという依頼でした。
慣れ親しんだ家を手放すというのは、喪失感や「都落ち」のような感覚があって、しょんぼりされる方が多いのですが、武藤さんには悲壮感がまったくなくて常に陽気でした。「好きにやってくれ」と持ち物に執着する様子もなく、生活保護のお金の中で十分に楽しんでいる様子が伝わってきました。
高齢者のひとり暮らしは、どこかで住み替えや施設への入居を考えるときがきます。そのきっかけの多くは、認知症などの健康問題か、お金の問題です。久住さんたちのように早めに自分で決断し、いままでの生活に固執するのではなく、すっぱりと新しいライフスタイルを選べるというのは素敵ですね。
山村 秀炯
株式会社GoodService
代表