Q.紅茶にはどんな健康効果が期待できますか?

A.抗酸化作用、血糖値上昇抑制作用、抗菌作用など、さまざまな効果に関する研究報告があります。

お茶は紀元前から2000年以上にもわたって飲まれ続けています。昔から病を癒やす薬としての役割を担ってきたことに加えて、心や体を元気にすることが古くから伝えられ、書物(陸羽による『茶経』など)にも記されています。

紅茶は緑茶と同じ茶の木の葉からつくられますので、発酵工程でできる紅茶ポリフェノールという主な成分に加えて、茶葉由来のカテキン類も少ないながら残っているので、健康によい成分が幅広く含まれていることが確認されています。最近では紅茶ポリフェノールによる効果と考えられる、さまざまな新しい研究成果も報告されています。

ここでは、紅茶の主成分である紅茶ポリフェノールの健康効果に関連して研究報告されている内容について、できるだけわかりやすくご紹介します。たいへん興味深い報告がありますが、紅茶も緑茶もあくまで食品としての嗜好飲料で、医薬品ではありません。おいしくヘルシーな飲みものとして楽しんでいきましょう。

抗酸化作用:紅茶や緑茶に含まれる主成分のポリフェノールには、抗酸化活性があるので、体内で有害な過酸化物質の発生を抑制したり消去したりすると考えられます。このことは心血管系の健全化や高血圧予防にも働くので、ひいては心臓系疾患の発症を抑えることとも関係があるでしょう。
血糖値上昇抑制作用:紅茶を飲むと食後の血糖値の上昇をゆるやかにすることが研究報告されています。この効果については、緑茶を使った研究もあります。
インフルエンザウイルスの感染力不活化作用:試験管内での研究結果の報告ですが、紅茶ポリフェノールの一つであるテアフラビンは、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性(感染力を止める力)が強力で、緑茶に含まれるカテキンより桁違いの低い濃度でも強く働くことが確認されています。インフルエンザウイルスの表面にあるたんぱく質でできたスパイクの一つHA(ヘマグルチニン)に紅茶ポリフェノールのテアフラビンが結合し、細胞への感染力をなくしてしまう効果があると考えられています。

紅茶ポリフェノールはたんぱく質との結合性があるので、牛乳を加えたミルクティーではウイルスへの吸着ができなくなるため、抗ウイルス力も期待できなくなることを専門の研究者は解説しています。この場合の飲み方としては、一定の時間ごとに紅茶を口に含んで口のなかのウイルスを抑えるとともに、周囲への感染伝播も低減できる可能性として、ひと口目はストレートティーで飲むのがおすすめです。


脂肪の消化・吸収抑制作用:脂肪分解酵素(リパーゼ)の働きを阻害し、脂肪の消化・吸収を抑制するので、体脂肪の増加を抑えます。
 

また、緑茶の健康機能については、カテキン類を使っての研究が中心ですが、代表的なものだけでもたいへんに広い範囲で研究がすすんでおり、次のような分野で成果が報告されています。

がん予防の可能性:静岡県での緑茶の飲用が多い地域を使った疫学研究。
循環器系や代謝:血圧、血糖、コレステロール、脂質代謝と肥満への保健効果。
抗ウイルス作用:インフルエンザウイルスの感染力低減への効果。
抗菌作用:食中毒細菌に対する殺菌作用。抗う蝕しょく作用(虫歯予防)
・腸内菌叢の改善
:腸内の善玉菌を守り、悪玉菌を抑えて菌叢の改善に働く。

また、英国茶業局による専門家報告(イギリスのティーカウンシルのティーアドバイザリーパネル)では、紅茶や緑茶と健康とのかかわりについて、飲用が一日4~5杯以上の人たちのグループと飲用をしない人のグループを比較して行った研究報告や疫学的な解説が数多く示されています。心血管機能の改善や糖尿病の発生の低下、高齢女性での骨粗しょう症の発生率の有意な差(ミルクからのカルシウム摂取との関連はあるが)、疲労感減少、虫歯発生予防効果(フッ素成分が摂取できることによる)などです。

このように紅茶は、私たちの健康に関して広い範囲でメリットがある健康的な飲みものであることがわかりますね。